しょうせつ
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草臥れて古めかしい帽子が高らかに声を上げる。―――スリザリン!喜ばし気に頬を赤くし席へと駆けてく生徒はこれで最後だ。新入生に必ず行われる組み分けの儀式が終わった。
新入生も上級生も混ざりざわざわとおしゃべりにいそしんでいる。そんな中遅れてやってくる三つの影があった。ミネルバ・マクゴナガル教授と生徒が二人、歩いてそれぞれの席を目指す。そのうちの一人、ハリー・ポッターは随分と目立っているようだった。
三人が所定の位置に着き、挨拶の為に校長が前に出る。新入生に向けた祝いの挨拶から始まり次いで知らせをする。今学期吸魂鬼を受け入れていること、許可なしに学校を離れてはいけないこと、吸魂鬼との問題を起こさないこと。そして
「今学期より新任の先生を三人、お迎えすることになった。まず、ルーピン先生。ありがたいことに空席になっている『闇の魔術に対する防衛術』の担当をお引き受けくださった。」
その言葉に応じるように教師席の椅子が引かれ一人の男性が立ち上がる。パラパラとまばらなあまり気のない拍手が起こる。が、一部のみが一際大きく音を響かせていた。
「続いてミョウジ先生、ミョウジ先生には魔法薬学の助教授をしていただくことになった。すでにスネイプ先生がおられるので補助という形になる。」
再び気のない拍手が起こる。今度は一部分も大きく音を響かせてはいなかった。ハリーは拍手をしながらちらりとセブルス・スネイプ教授に視線を向けた、がそれを後悔した。スネイプ教授はいつもハリーに向けてくる怒りを通り越した憎しみの眼差しをルーピン先生に向けているのを見た。ハリーを見るときの目つきそのものを。
「もう一人の新任の先生は」―――拍手がやむのを待ちダンブルドアは続けた。「ケトルバーン先生は『魔法生物飼育学』の先生じゃったが、残念ながら前年度末をもって退職なさることになった。手足が一本でも残っているうちに余生を楽しまれたいとのことじゃ。」
「そこで後任じゃが、嬉しいことに他ならぬルビウス・ハグリッドが現職の森番役に加え教鞭を取って下さる事になった。」
その言葉にハリー・ロン・ハーマイオニーは顔を見合わせみなと一緒に拍手をした。特にグリフィンドールからの拍手は喝采でハグリッドは夕日のように顔を赤く染めていた。
「さて、これで大切な話は終わった。」
ダンブルドアが宣言する。「さあ宴じゃ!」そう言うと金の皿、金の杯に食べ物飲み物が現れる。それを見たハリーは急に空腹を覚えがつがつと料理を平らげていった。
スネイプの射る視線とは真逆の慈しむような視線を向けられているとは気付かずに。
(ダークブラウンは思いを馳せる)
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