長編

□君の甘さに溺れゆく
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「いッ!!おいったら!!」

「聞こえてんだろッ!!」

誰かの叫び声を
意識の遠くで感じながらも
身体は重く起き上がりそうにない。

かろうじて、開いた瞳に
映り込んだの真選組なんかじゃあ見ねぇ白すぎる肌

___ドクリ

ゴクリと喉がなった。
心拍が早鐘がなるように
身体中に知らせるように響き渡る
息をはっはっと浅く吐いては吸ってを
繰り返した。


こんな状態の奴に
声をかけるなんて余程のお人よしだろ奴になけなしの理性でさっさと消えるように告げようと
恐らく飢えで何時もの数倍は
鋭くなっている瞳で見上げた


流水紋の白い着流しに
トレードマークの銀髪頭を見て
俺は思いっきり顔を歪めた。


「お前、大丈夫かよ?」

「………よりによって、オマ、エか、よっ」

「その言い草はなんだ、あぁ?
せっかく銀さんが助けてやろうとってお前ほんとに大丈夫?」

「甲斐性ナシがいっちょ前に何言ってやがる。万事屋、お前1分以内にいなくなれ」

「え、や、でも、お前具合悪そ」

「さっさと失せろってんのが分からねぇのか?!」

目の前の万事屋の瞳が
驚いたように見開かれ
俺をほんの数秒、見つめたかと思うと頭の後ろを掻いて
そうかぃと呟いて去っていく
背中を捉えて、俺は安心のため息を吐いた。

とりあえず、山崎に連絡しねぇとな
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