長編

□暗き闇に光るもの
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「神楽ちょっと薬とってくんね」


「銀ちゃん風邪ひいたアルか?」

寝室の襖を開けて
居間のソファーでだらだら酢昆布片手にテレビを見ている神楽に頼む


昨日まで咳が出る程度だったのにさっきから
頭がボーッとして、身体も熱を帯びてきてるようだった

「大丈夫アルか?」

襖を開けて心配そうな表情で覗き込んでくる
いつもは、、、まぁあれだけど
やっぱり年頃の女らしい所もあんだな
「神楽ちゃん、気にしないでいいよ
昨日長谷川さんと飲みにいったんだから
風邪じゃなくて二日酔いだよ」と
新八が割烹着姿で洗濯物を干しながらぼやく

ちっ...余計なことは言わなくていんだよ
んなこといったら...


「まじアルか?またそんなとこ
 いってたアルか、自業自得ネ」




「悪かった...悪かったから薬とって!!」

「自分でやるがヨロシ」
そういい放ち居間でテレビをみている


はぁ、、、マジかよ布団から這い出て
重い身体を起き上がらせ薬が置いてある
棚の前に立って薬を探す



あれ?
この前まであったんだけどな
おっかしーな

「新八ー?薬どこにあるか知らねぇ?」

「あぁそれならもうないですよ」


「何で補充しておかねーんだよ」


「補充するお金があるならしますよ
あれば!!」


新八にそう悪態を疲れる
しゃーねーだろ依頼なんてここ数週間
全くないんだから


「おい.......薬買ってきてくんね?」



「僕はお通ちゃんのCDを買いにいくのでそろそろ失礼しますね」


「神楽...お前は」


「姉御と約束があるからムリね」



そう言い残し二人ともそそくさと家から出ていった

いやいやいやいや嘘でしょ
ぜーったい嘘だよ!!

さっきまでテレビ見てたじゃん


さっきまで割烹着着て洗濯してたじゃん



この薄情者がー!!!!!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーー



あれから少しして悪寒もはしってきて
これ以上悪くなる前に残り少ない金で
薬を買いに足をふらつかせながら
薬局に出掛けた

   

しばらく歩いていると
そういやー薬局って滅茶苦茶遠いことにあるんだった
そう思いながらも足を前に進ませる




ードンッ


痛ってーな
何かにぶつかって見上げてみると
『期間限定ヤッキョク』


期間限定?
何だこの捻りの欠片もない店は
店の外に貼ってあったチラシに目が釘ずけになる


『今だけ無料販売中!!』


無料!?ラッキー!!
俺はさっそく中に入る
建物の中は普通の薬局とかわんねーよーな雰囲気だが......人っ子一人といなかった
まっ......たまたまだろ




俺は少しドギマギしながら店員に風邪薬を頼んだ


最近天人なんて全く見なかったからな
そりゃあ、あの有名アニメのパケットモンスターのブガチュウの顔した店員がいるから驚いたわー

いや、でも裏切られた気分だったな
喋んのかなとか“ブガチュウ”って
鳴くのかなとか思ってた俺のドキドキを返してほしいわー


そいつは喋らず頷くだけで
俺にその瓶の風邪薬の他に違う薬と水を手渡した
紙きれを差し出された
それには無料で渡すかわりにこれをこの場で飲んで欲しいとだけ書いてあった


俺は特に何も考えずそれを飲んだ
その瞬間視界が揺らぐ
身体中が痙攣をおこしだす
チラッと視線の先を店員の方に向けるがそこにはもう誰も居なかった

「うっ、、なんっ、、、、れは」


次第に節々が痛みだし
火傷したかのように体が熱くなっていきその場でうずくまる





「ヴァァァァァァァアアアアアア!!」

無意識に叫び声をあげて
それから、痛みに耐えきれず俺は意識を手放したた
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