そのスキにイタイ感情を。


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トド松のヤキモチ NEW!

イタイ。と言えばカラ松兄さん。
カラ松兄さんといえばイタイ。


それは僕たちの常識、当たり前。
僕たちむつごにとっては、もうそれは、カラ松兄さんのアイデンティティーになっている。

けれど、時々カラ松兄さんは、ふっとイタさが抜けることを知っている。

それを僕は横目に見るたびに胸が少し≪いたく≫なる。
そして、ポツリとつぶやくんだ。
「ほんと、いったいよね。」




カラ松兄さんはなぜイタイのか、いつから、なぜそうなったのか。

僕はごろりと部屋のソファーに寝転がり少し昔へ意識を飛ばしてみた。

まずいつからイタいのか、
たしか...高校の頃はイタさなんてなかった。

ただ優しい、自分のことを省みないほど、相手のことを考えるような人で、面倒見がいい、しっかりした兄さん。まぁ、ちょっと抜けてるって感じで。

身体もしっかりしてて、優しい中にも男らしさもあったし、行動もイタい、ということはなくて、さりげない優しさがむしろかっこよかったから、女子にはモテてた。

んまぁ、そんなこと知らないんだろうけどけど、あの頭空っぽ松は。




そんな兄さんをあの頃から僕、松野トド松は憧れ、慕い、恋していたことも知らないんだろうな。

窓から暖かな春のヒカリが漏れてくる。

僕の意識は過去にのこされたまままどろんでいった。




「トド松!」

授業の後のざわめく教室でカラ松は僕を呼んだ。

「なに?なに?」

「放課後部活動体験入部、回らないか、行きたいところが被れば一緒にいこう。おそ松はサッカー部、チョロ松は文芸部、一松は...行かないらしい、十四松は野球部にスカウトされてたぞ、トド松は気になるのはあるか?」

僕はカラ松からファイリングされた部活紹介の紙をもらい、ペラペラと紙をめくる。

あまり興味はそそられなかったが、一枚の写真にめがとまった。

演劇部の昨年行われた劇のロミオとジュリエット。

ロミオの役の先輩の人の目がカラ松に似てる。と思った。真剣な眼差し、そのなかに暖かな優しさ.....


「やけに真剣に見ているな、........お、演劇部か、トド松は演劇部に興味があるのか?」

僕は予想外のことを言われて戸惑ってしまう。

「え、えと、まぁ、ね!!!ほら、ジュリエットの子なかなか可愛いじゃん?行ったらこんな子いるのかなー…あはは、」

「お、確かに整ってる顔をしてるな、ロミオの役の人もいい表情だな、なぁ、トド松、これ、俺着てみたら似合うと思うか?」






カラ松の.....ロミオ。
真剣な目で僕を見つめる。

子供の頃は相棒だったけど、好きなんだ.....!付き合っ......



「トド松?」

「へ?!!///あぁ、似合うと思う!すごく、きっとかっこいいよ、.......ッ?!/////」

なにいってんの?!僕?!


その瞬間ゆっくり微笑んでふっと笑
いを落とすカラ松。


「そうか!!!とりあえず見学してみようかなトド松はどうする?」


「............いく!!」



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