そのスキにイタイ感情を。

□トド松のヤキモチ
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体育館へ向かうとジャージ姿の先輩方達が発声練習をしたり、走ったり台本を片手に台詞を読んでいたり汗を流していた。

僕たちが声をかけると、先輩たちは喜んでくれた。

女性部員の方に初々しくて可愛いと言われたときは反応に困ってしまったけど。

練習はけっこうハードで体験入部が終わる頃には汗だくになっていた。台詞を読んで演じるだけだと思ったのに。明日はきっと筋肉痛だ。

カラ松を見るといきを切らしながらTシャツで汗をぬぐっていた。首筋から汗が伝い、鎖骨に落ちていく。吐息が艶やかに聞こえる。



ヤバいヤバいヤバい。かっこよすぎ。

おもわずたち眩みそうになる

「松野、大丈夫?初日でこのメニューはきつかったっしょ?運悪いね、これで諦めるやつもいるからさ。あと演技するの恥ずかしいとかで。」

松野......どっち?顔をあげると僕が言葉を発する前にカラ松が

「いえ、まだ行けます!」
と声をあげた。

僕は....無理かも、よろけるとカラ松が、空かさず支えてくれる。

「大丈夫か?無理しすぎはよくないぞ」

「あー、だい、じょぶ」

その時先輩が僕たちを交互に見た。

「松野、カラ松。松野、トド松。いやぁ、噂になってたんだよ。スッゴい似てる。むつごが来たって。顔は同じでも声とか体格は違うんだな。むつごでも。あたし、みんな同じなのかなーっておもってた。」

「似てても同一人物ではないですからねー。」
僕が苦笑すると

「でも、俺ら 兄弟 なんでかんがえてることは伝わったりすると思いますよ笑」

「へー!すごぉい、それって本当なんだね!!!」






んなわけないじゃん。


もしもそうなら、今ごろ僕は告白もしないうちに気持ちを悟られ、避けられてる。

ばーーーか。

兄弟?知っているけど、その言葉が僕の自由を奪うんだ。なんですきになっちゃったんだろう。
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