お話

□相棒という壁をぶっ壊せる武器を、誰かオレに授けてくれ。
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いきなりの告白に何を言えば、なんていう顔をすればいいのか全く分からない。苦笑いしそうになって慌てて口をつぐむ。
真昼自身、自分で分からないが告白される方は多い。と、思う。本人は良く分からないが。だが、相手はいつも知らない、他のクラスの人間で、こんな(ある意味)知っている奴に
告白されるとは、ちょっと、新体験な感じがする。

「昼間言ったみたいに僕が一生隣にいてあげようか?」
「え、…いいのか!?」
「おいッ!!」

プロポーズの様に聞こえる言葉で囁いたのにそこまで反応せず、将来自分が幸せだったらいいという考えの元真昼の笑顔が眩しく見えた。
そこにクロが耐えられずツッコミを入れた。

「さっきからどうしたんだよクロ。」
「ッ…、つーかお前はもう帰れ!」

ゲシッゲシッと椿を思いっきり蹴ったクロに「えー…」とつまらないなぁと付け加えて顔をひきつらせた椿。

「…ま、いっか。またいつでも会えるしね。」

名残惜しそうに真昼を見つめるとため息交じりの息とともにに口元が笑顔になる。
そこから入ってきたであろう部屋の大きめの窓からよっと映画のワンシーンの様に窓から飛び出した。それと共にカーテンが揺れた。

「一気に静かになったなー。」
「…。」
「それにしてもクロらしくない音量だったな。さっき。」

にっと笑う真昼に、何度目か分からないほどのため息をつき、扉の方へ歩いた。

「…あ、寝るのかクロ。」
「あー…、おう。」

部屋に言ってすぐ寝るとは思えないので少し曖昧な返事を返した。なんだか自分でも何がしたかったのかよくわからなくなっていた。
夜だからか。今なら何となく何でも言える気がした。無神経な、無邪気な、能天気な、真昼に対してさっきから無性に腹が立った気がしてならなかった。

「おやすみ、クロ。」
「真昼。」
「ん?」

ベットの上の乱れたシーツを直していた真昼がいつも通りの笑顔で顔を上げた。
クロが少し悲しそうな顔で振り返ると真昼も少し驚き、「どうした?」と聞いてみた。また、部屋の中が静まり返った。
クロは静かに口を開く。



「オレも好きなんだ。お前の事。」

オレも。勿論さっきの椿の事だ。ポロっと出た言葉に何の反応も示さずにクロは部屋を出て行く。
真昼もクロがいた場所からずっと視線を離せずに呆然としていた。月が雲で隠れてずっと当たっていた月光が消えて部屋がまた暗くなった。


(あああああああ!!)

これ以上ないほどクロは絶望した。
言って後悔した。
これから生きていけるか分からない。






終わりです。遅くなってごめんなさい。ある意味絶望的なオチですね。はい。
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