お話

□もっと君に近づきたいんだ。 3
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「…は?…なんでそんな結論にいたるんだよ。」
「いや!だから言っただろ!?」
「…寝ぼけてんじゃねえの?明日休みだからって頑張りすぎなんだよ。早く寝ろー。」
「こ…こっちは真面目なんだよ!」
−知ってる。話をそらしたかっただけだ。アイツ(椿)は予知能力者か。−
かしゃかしゃと食器をキッチンに運びながらあははははと笑っている椿が頭に流れ、はあ、とため息をつく。
唇を噛み、握った拳が震えた。
バンッ!!!
クロが振り返るとダイニングテーブルを真昼が叩いて椅子から立ち上がったようで無言で下を向いていた。
「真昼?」
「ひどいんだよ、ひどいんだよ!!」
「…!」
真昼の瞳から涙がこぼれ頬をつたった。
「俺は真剣なのになんで避けるんだよ!!本当は俺のこと好きじゃないのか!?」
「いや、違…」
予想外の反応にクロも言葉に詰まる。真昼は胸が押しつぶされそうでその悲しみを涙に変えた。
「もうヤダ…好きなのに、俺は…。」
クロはキッチンから離れ、真昼に近寄った。涙をふこうと真昼の顔に手を近づける。
「っ…」
息をもらしクロの手をはらった。結構な痛みにクロも手を降ろした。
「もう、いいよ。」
「おい、真昼?」
クロに背を向け歩き出す。
「…!」
歩きを止めさせるため真昼の肩を掴んだ。後ろに振り返りテーブルに置いてあるスマホを取る勢いでクロを払いのけた。
「ま、ひる…」
靴をかかとを踏んだまま履き、玄関の鍵を開けた。
「…」
「…」
少し後ろを見ると、さっきまで自分が座っていた椅子にクロが黙って座っていた。

パタン。

扉が閉まった。




プルルルル…


「どうした城田。こんな時間に。」

「…。」

「…城田?」

「…み、御園ぉ…!」

「…!おい!城田?!」












もっとお前に近づきたいだけなんだ。
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