短編集
□私のヒーローアカデミア
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『これが、個性……!』
始まりは、4歳の個性が発覚した時だった
祖父の個性、"衝撃反転"を奪った──
『ごめんなさい、ごめんなさい……』
「いいんだ、ワシとて亜夜に個性を使われられたら本能」
『……!!』
「亜夜、そんな立派な個性を決して、ヴィランに使ってはならんぞ」
『私でも、ヒーローになれるのかな……』
「当たり前だろう」
『ありがとう、ありがとう……!』
その言葉を最後に、祖父のいる沖縄に行くことは二度と無かった
"祖父が亡くなった"、その悲報を聞くまでは
そして時は流れ──
「アンタがそんな"個性"じゃなかったら……」
「亜夜、お前に父さんの個性を奪え」
「な、なら、母さんの個性も奪って!!それで、もう……終わりよ」
そして、その個性を他人に与える事が出来ることも──
『じゃあね、ひーろー……ボクはヴィランになるよ』
父さんの個性__を奪い
母さんの個性___も奪い
『結局、家族全員の個性を奪った、そうなんだよ…』
この"個性"で、家系も、家族も何もかも壊れかけた。けど……
其れから6年の月日が流れ、10歳になろうとしていた
『ひっ…!!』
いつものように家に帰宅。自室に引きこもろうと冷蔵庫にあるジュースを持っていこうとすると
『ッ、何がどうなって…?』
目の前にいるのは仲良く手を繋ぎ、胸に刃が突き刺さっている二人
刃には血が付いていた。おびただしい量で
両親は殺してはいないが、第一発見者になる。つまり警察は亜夜が犯人だと考えるのが妥当だろう
刃に自分の指紋を付けたら、殺人犯として、ヴィランとして──
『……ッ…もうこれでヴィランだ…』
両親を殺したヴィランは逃走。風に煽られ、ユラユラとカーテンが揺れた
そんな時にヒーローは現れた──
「もう大丈夫!何故って?」
──私が来た!!
『オール、マイト……』
ニコリと笑い、此方に手を差し伸べる。それが何れだけ嬉しいか──
「君が、及川少……」
オールマイトの言葉は繋がらなかった
『もう、"__"なんて……言われたくなかった……!』
何故なら、ボロボロと涙を溢し、震える手でオールマイトの手を掴んだからだ
「……大丈夫(この子は──)」
腕を引かれ、抱き締められた
『こんなボクでも……人を救ける、ヒーローになれるかな……』
─オールマイトみたいなカッコいいヒーローに
「勿論さ!今度は君が言うんだ。
"私が来た!!"とね」
「及川少女、あのね……」
その言葉に又もや涙が溢れた事を忘れはしなかった
『ッ、勿論です!!』
現在───
『……』
ザァアと雨が降りしきる中、一人公園で椅子に座っている
毛先からポタポタと雨が滴り落ちる
『やっぱ、敵向きなのかな……この個性は』
自分の手を見つめ、上を仰ぐ
曇天だった──
敵個性と、罵っているかのように
「亜夜ちゃ………!」
どうやら、見つかったようだ
『……オール、マイト』
土砂降りの中、必死に探してくれたのか息も絶え絶えだった
「帰ろう、亜夜少女」
『……』((ブンブン
首を縦に振る
「ハァ、しょうがないな」
そう言うと、手を振り上げた──
叩かれるかと思い、目を瞑った
『(ッ、叩かれる……!!)』
衝撃はなく、数秒間目を瞑っていたが、恐る恐る目を開けた
「私は叩かないよ。大丈夫」
『ッ、あ……』
その手で抱き締められていた
「さ、帰ろう」
びしょ濡れだった亜夜を抱き上げる
『濡れちゃ……』
「大丈夫さ。それより寒くないかい?」
『大丈、夫』
頭がぼんやりとしてきた。なんで、だろう──