短編集
□赤木夢 バスケが好きだ!裏
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木暮くんはいつも、タケと一緒に居る。
同じクラスでバスケ部で。
キャプテンで副キャプテン。
朝も帰りもいつも一緒。
・・・そんなわけない。
なんて、ひとり変な想像をする私。
それくらい、バスケバスケバスケ!!!
私たちは3年間、同じクラスになったことがないのに・・・。
今日は進学クラスの受験対策補習の日。
私は午前中は、タケと一緒に数学の授業〜♪
なんて浮かれていた。
でも、教室に入ったら、既にタケと木暮くんが仲良く座っていて。
「おっ、名無しさん!おはよう!」
とサラリと言って終わり。
その後も、こちらを気にしてくれている木暮くんに、いいから早く解かんか!なんて言っている。
私のことは無視かよ。
ーーー
補習が終わり、次々と帰る人たち。
私も片付けをしている。
「さっ、弁当食って部活だ!
その前に一汗かくぞ!木暮!」
と張り切るタケ。
タケは教室から出ようと、くるりと振り返る。
少し後ろの席に居た私を見つけて、暫く止まった。
「・・・名無しさん・・・・・・」
小さな声で私の名前を呼ばれたのを聞き逃すことはなく、
「・・・ん?」
とタケの目を見た。
「・・・明後日から、合宿で静岡だ。」
と真面目な顔で言っている。
「そうなんだ。頑張ってね!」
「いや、違うんだ。・・・今日の・・・いや、明日・・・うーん。明日は!うーん・・・」
何やらひとり悩み込んでいる。
「・・・アハハ。」
私は思わず笑ってしまった。
「・・・ありがとう。時間会ったらね。」
と言って、私はバイバイと手を振り先に教室から出た。
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