短編集
□牧夢 バスケとサーフィンと私
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名無しさんは、海が嫌いなんだろうか?怖いんだろうか。
俺が名無しさんと出会ったのも、この海だった。
・・・あの時も、海には入らずに、ただただ海を眺めていた。
夕陽に映えるボディライン。
ジーンズにTシャツ。ラフな服装だからこそのライン。
女らしい体を見ていると話しかけたくなった。
声をかけたのは俺からだった。
ナンパなんてしたことはない。
そういうことは俺はしない。
でも、なんとなく。
「・・・こんにちは。君、いつも海眺めてるね。」
「・・・こんにちは。見てますよ。サーフィン上手ですね。」
見覚えのある笑顔に気付いた。
「・・・あれ?隣りのクラスの・・・」
「はい。隣りのクラスの名無し名無しさん#です。」
いつも見る制服姿とは全く雰囲気が違っていた。
学校では、明るくて人気があって。
ふざけている印象だったのに。
それから、俺たちが付き合うのに時間はかからなかった。
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