短編集
□仙道夢 銭湯夢物語
1ページ/10ページ
俺は学校の近くの寮で生活している。
ワンルーム一部屋があたる。
トイレは部屋にあるけど、お風呂や食事は共同。
男子のみが下宿しているわけだから、
なかなか男臭い。
夕ご飯を食べ終わると、みんな次々にお風呂へ行く。
俺はというと、近所の銭湯へ行く。
門限の21時までに帰ってくれば、問題はない。
「おばちゃん!行ってくるわ!」
「はぁい!気を付けてね!」
今日も銭湯に行くとわかっているのだろう、
おばちゃんには、こんな会話で済ませた。
ー銭湯までもう少し。
反対側から、高校生と思われる女がこちらに向かってくる。
眼鏡に髪をひとつに縛り、Tシャツに短パン。ラフな格好をして。
たまに見る子だ。
あちらは俺のことを知っているようで、こんばんは。とだけ言ってくれる。
「こんばんは。」
「こんばんは。」
とだけ言葉を交わして別の入り口から入って別れる。
昔ながらの銭湯。
一応、番台からは女子更衣室は見えないようだけど、
この親父は絶対に見ていると俺は思う。
「おっ、仙道くん!今日もお疲れ様!」
と番台の親父にお願いします。と言いながら綴りのチケットを1枚渡す。
.