短編集
□牧夢 バスケとサーフィンと私
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ーただ、海を眺めているだけ。
というか、牧さんを眺めているだけ。
牧さんは、私を海に行こうと誘ってくれる。
本当はテーマパークとか、遊園地とか。動物園みたいな所へ行きたい。
そう、言わない私が悪いのかな?
ー
「・・・名無しさん!待たせたな。」
海から上がってきた牧さん。
スッキリした顔をしてボードを抱えている。
私は「うんん。」と顔を横に振り、ニコリと笑うだけ。
深く帽子を被った私は、着替えに行く牧さんのあとを追う。
ードンッ!
「あっ、ごめんなさい!」
急に立ち止まる牧さん。
くるりとこちらを向いて、私の帽子のツバをクイッと上に上げる。
「・・・海・・・嫌いか?」
「・・・えっ、あっ、いや・・・・・・」
私は言葉を詰まらせた。
「・・・そうか・・・。」
そう言ってまた歩き出す牧さん。
私は近くのベンチに座って待った。
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