清田夢
□恋する2人
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ー決勝リーグ。海南対陵南戦。
私と未来は、応援に来ている。
「未来が武藤さんと付き合うとはねー。しかもまだやってないとか・・・」
私は、ノブの言葉『武藤さんはやりちん』という言葉を思い出した。
未来には言わなくて良かった・・・。
「・・・ほら!見て!正さん!素敵ー!」
「武藤さん、正って言うんだ。初めて知った。」
私は苦笑いをしながら、未来の目がハートになっているのを確認した。
「・・・ところでさ、名無しさんはどっちの応援?」
「・・・んー。どっちも。」
「なんだそりゃ。」
「未来は?」
「私は・・・陵南と正さんの応援♡」
「・・・じゃ、私は・・・陵南とノブの応援・・・かな?」
私たちは私服。朝の湘北対武里戦のときから体育館入りして、どちらの応援席でもない、ベンチ側の中央1番前に陣取っていた。
ーピピーッ!
と、審判が笛を吹き、ベンチに選手が集まってきた。
「そろそろ始まるのかな?」
未来は、キョロキョロして武藤さんを探している。
ー私は・・・ノブをすぐに見つけられる・・・・・・。
「ーおーい!名無しさん!来てくれたのか!この清田信長様が居るから大丈夫!カーッカッ・・・・・・」
ーゴツン!!
私たちに気付いたノブがこちらを向いて手を振ってくる。
ノブらしいけど、恥ずかしいからやめてほしい・・・と思っていたら、牧さんが「集中しろ!」とゲンコツをして、ノブは引きずられて行ってしまった。
私は軽く手を振るだけ・・・。
「あっ!正さぁーん!」
隣りの未来が、武藤さんを呼んで手を振っている。
武藤さんは、こちらをチラっと見たけど手を振ることもせず、選手たちの会話に集中していた。
「・・・えっ。正さん・・・どうして。」
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