清田夢

□海南の清田
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私はひとりで体育館の裏口へ来た。

何人かが居残り練習をしているみたい。


ノブ、神さん、メガネの小さい人。
そして、あれは牧さん。ノブの部屋にバスケ雑誌の切り抜きが貼ってあるから知ってる。


私は暫く練習の様子を見ていた。



ーバシッ、
「清田。それじゃダメだ。」

「はいっ!もう1本お願いします!」

ーキュッ、キュキュッ、、

ードン!

「・・・はぁ、もう1本お願いします!」

ーキュキュッ、キュッ

ーパスッー

「清田!腰を低くしろ!」

「・・・はぁ、はい、すいません!」


何度も抜かれている。
何度も倒されている。

それでも立ち上がるノブ。

ジャンプや足の速さは負けていないと思う。
でも、明らかにバスケットボール選手としては、牧さんには到底勝てない。

素人の私でもわかった。



ーすごいなぁ。



「・・・名無しさんちゃん!」

関心して見ていると、反対側のコートでシュート練習をしていた神さんが来た。

「あ、お疲れ様です。」

「ノブ、まだ練習してるから、中に入ったら?お迎えでしょ?」

そう言われて、私はステージの上に座る。


しばらくノブの練習を見ていた。




ー「よし!それだ!それがもう1本できたら終わりにするぞ!集中しろ!」

「はいっ!」

ーキュキュッ、キュッ、、


ードゴーン!!!!!

「よーし!いいぞ!清田!」

「はい!ありがとうございました!」

ノブは牧さんの横をすり抜けて、物凄いジャンプでダンクを決めた。


ーすごい。カッコイイ・・・・・・。



「・・・はぁ、はぁ。・・・」

膝に手を付き、下を向くと汗がボタボタと落ちるノブ。


「・・・あっ、名無しさん。来てたのか!わりぃ!」

余裕ができて、やっと私に気付いたノブ。

私は軽く手を上げ、おつかれ。とだけ言った。

「モップかけるから、もう少し待ってて。」

と言ってモップをかける。

1年生だもんね・・・・・・。



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