清田夢
□陵南の応援
2ページ/5ページ
ちょっと待って。と言って俺は、最前列の海南が集まる場所に降りた。
「武藤さん、おはようございます。」
「おう、おはよう。」
「あの、友達が座るところなくて困ってて・・・そこでいいんで、座ってもいいっすか?」
前から3列目の端の席を指さして言った。
「なに?そんなのダメに決まってるだろ!」
武藤はそういう所は厳格だ。牧さんならダメとは言わないだろうに。
「・・・そうっすよね。すいません。」
俺は頭を下げて、上に居る3人に向かって、
「ごめーん」
と✖のジェスチャーをした。
「・・・ちょ、ちょっと待て!」
「・・・??」
武藤さんは、俺の手をグイッと引っ張り、小声で俺に言った。
「・・・清田!友達ってのは、あの女の子ふたりのことか?」
「はい。そうですけど・・・」
「なぜ早く言わない!女の子だと!いいに決まってるじゃないか!」
「・・・え?」
武藤は立ち上がり、
キリッとした顔で
「お嬢さんたち!さぁ!こちらに!」
と言って、隣を詰めさせて2席開けさせた。
「・・・武藤さん、オンナ好きなんすね・・・」
と呆れたように言うと
「バカヤロー!レディファーストと言え!」
と言いながら隣をさらに詰めさせて、俺と神さんの分の席もあけさせた。
武藤さん、恐るべし。
.