色松1
□夏色模様3
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夕暮れ時――
町内会の手伝いだと、母親に言われ、ここら辺では結構大きいお寺に、六つ子達は駆り出され、あれだけ嫌がっていた一松も親の言う事には逆らえず、渋々皆と出かけるハメになった。
既に会長さんやら商店街の人達が集まり、肝試しの準備に追われている様子。
おそ松を始め皆が会長さんの所に行き手伝いを始めた。
取り残された一松は黙ってこのまま帰ろうとしたが、カラ松に腕を捕まれ半ば無理やり連れて行かされた。
「だいたいの飾り付けは終わりましたけど、他に何かありますか?」
「いやいや、もう充分だよ。後は楽しんでって。屋台もあるからね。言ってくれれば出すから遠慮しないで。」
「はい、ありがとうございます。」
「やったー、ラッキー!!んじゃ、俺お好み焼きが食べたい!」
「ちょっと、おそ松兄さん!!」
きちんと礼を言うチョロ松に対し、遠慮なしに言うおそ松は、どっちが兄か分からなくなる。
住職も町内の人も、そんなやり取りを笑ってみていた。
(もう、なんなの?何でここにいなきゃいけないの?早く帰りたい…)
カラ松の掴む手も解かず、ずっと俯く一松にカラ松は声をかける。
「一松…大丈夫か?」
「…大丈夫じゃない、早く帰りたい。」
「1度参加すれば帰れるから…」
「何で参加しなきゃいけないの?強制じゃないでしょ?もう、良いから手離せよ…」
人混みが余程嫌いな一松を心配し、カラ松はあくまでも手を離す気は無い。
伝わるカラ松の力に、一松はもう何も言わなくなる。
町内の人から6人分のお好み焼きとジュースがテーブルの上に出され、皆は急いで席に着く。カラ松と一松は二つ並んだ椅子に座り、皆でお好み焼きを食べ始めた。
「じゃあさ、どのペアから行く?」
「…えっ、ペア決まってんの…?」
「うん!家出る前に、アミダでペアを決めたよ!一松兄さんはカラ松とペアだった!」
「!!?何で俺のペアがクソ松なんだよ!?」
「仕方ないだろぉ、アミダで決まったんだもん、もう変更は一切受け付けないから、二人頑張って〜!」
ヒラヒラと目の前で手を振るおそ松に、何も言えず一松はお好み焼きをほうばった。