堕落した色松
□Triangle2
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暗い裏路地―――――
居る筈の一松の姿が無い事に、身体中の血の気が引き、カラ松は立ち尽くし、手にしていた荷物を落とした。
(何処に行ったんだ?此処に居ろって言った筈だが…。まさかおそ松に!?)
嫌な予感が脳裏を過ぎる。
ふと、トッティがおそ松は飲みに出かけたと言っていた事を思い出し、行きつけの店へと走り出した。
(どうか、どっかの店で飲んでいてくれ!)
縋る様な思いで走る。
息が切れ、汗が吹き出る。5分ぐらい走り、一件目の戸を開け中を確認するがおそ松の姿は無い。次の店に向かうのに、すぐまた走り出した。
2件、3件と走り回るが一向に見つからない。もうどの位走ったのか、ただ一松と一緒に居ない事を願いながら走る。
だが、それも虚しく、一向に見つける事が出来ないまま、最後の頼みの綱のチビ太の店に向かった。
着くなり、チビ太は片付けを始めていた。
「おい、チビ太!!」
「!?、何だ、カラ松か。どうしたんでぃ、こんな遅くに。」
「はぁ、はぁ、おそ松来てないか?はぁ、はぁ…」
息も絶え絶え、チビ太に尋ねた。
(どうか来てたと言ってくれ、チビ太…)
たが、その願いは叶わなかった。
「今日は来てないぞ。」
チビ太のその言葉に、カラ松は崩れる様に座り込んでしまう。
「お、おい!?大丈夫か?カラ松。何かあったのか?」
心配するチビ太に、カラ松の反応が無い。余計心配になりカラ松に近づき顔を覗き込んだ。
「どうしたんだよ、そんなに汗かいて。水で良かったら飲むか?」
チビ太に支えられながら、椅子に座りチビ太から水を貰う。
それを一気に飲み干すと、カラ松は塞ぎ込んでしまった。
「…おい、カラ松?」
さっきから全く話さないカラ松の様子に、チビ太もどうして良いのか分からない。とりあえず、片付けを始め、終わったら家まで送る事にした。
片付けが終わり、カラ松に帰ろうと促す。無反応のカラ松の背中を一回押し、屋台を引きながら松野家に向かった。
「!!!!」
「カラ松兄さん、どうしたの!?一松兄さんは?」
帰らないと言っていたカラ松が、チビ太と一緒に帰って来た事に、三人が驚愕した。
「………………」
「こいつ、店に来て、おそ松来なかったかって聞いてきてから、何も話さねぇんだよ。だから、心配で送ってきたんでぃ。」
「そうなんだ。チビ太、ありがとう。遠回りだったろ、気を付けて帰れよ。」
中に行こうと、トッティがカラ松の肩に手をかけ、チョロ松はチビ太にお礼をし、見送りに出た。
肩を落とし何も話さないカラ松は、促されるまま茶の間に入り、ちゃぶ台の近くに座らされた。
「ねぇ、コレってマズい状態だよね?」
「あぁ、おそ松兄さんと一松が一緒に居る可能性が高いな。」
おそ松の言葉が脳裏を掠めた。
カラ松の方を見れば、考え込む姿が目に飛び込む。痛いけな姿に二人は黙り込んでしまった。