色松1

□駆け引き
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俺は今、頭に来ている。














『駆け引き』











「いちまぁぁつ、今日こそは良いだろ?もう、二週間もヤってないんだぞ?」
何故かここの所、一松にアクションを起こしても拒まれ続けている。流石に我慢の限界だった。誰も居ない部屋でお互いソファーに座り、体育座りの一松の肩に腕を回し、その耳元に優しく問いかけた。
途端に、身体を震わせた一松は立ち上がる時に、俺に肘鉄が当たり鼻をぶつける。わざとではない行為なのは直ぐに分かったが、謝りもせず、俺から離れた。
「……ってぇ、……いちまぁぁつ、なんだよ?どうしたんだい?」
「……な、に勝手な事言ってんだよ!………俺、カラ松とはもうしないから……」
完全に否定され、固まる。どうしてそんな事を言うのか、全く心当たりが無い。
「……どうしたんだ…いきなり……」
まさかこのまま別れると切り出されるわのでは無いかと青ざめ一松を見る。
「……だって、嫌だって言っても……止めてくれないじゃん………」
「なんだ、そんな事か。一松だって気持ちよがってただろ?」
「あ"あ"――――――!!言わなくていいから!兎に角もうやらない!!」
大声で怒鳴られ、カラ松の顔付きが変わった。眉間に皺を寄せ、一松を睨みつける。
「……分かった。一松がそこまで言うなら、もうヤラない。」
そう言って部屋を出て行き、気晴らしに出かけた。
(………なんだよ……いきなり。一松だってあんなに求めてきたくせに……)
どんなに考えても納得がいかない。別に一松の身体が目的では無いが、お互い好きなら求め合うだろと考えながら釣り堀に向かった。
釣り堀には、トッティが居る。
「あ、カラ松兄さん。あれ?独り?一松兄さんは?」
「……ちょっとな……」
「元気無いね。喧嘩でもしたの?」
「H拒否られた。もう、二週間もしてない。」
「!!?いやぁぁぁぁぁぁぁ!聞きたくないぃぃぃぃぃぃぃ!!」
相変わらずの態度に、相談しようとした事を後悔した。
「………………」
黙るカラ松に、ちょっと悪かったかなぁとトッティが顔を覗く。
「……心当たりあるの?」
「嫌だって言っても止めてくれないからって言われた。」
その言葉に絶句しながらもトッティは話を聞いた。
「なら、暫く一松兄さんに冷たく接して見れば?良く恋は駆け引きって言うじゃん?」
トッティにいわれたものの、俺に出来るだろうか…と考えてしまう。
「あんな感じの一松兄さんだけど、かなりの甘えん坊みたいだし、結構直ぐに結果出るかもよ?」
「だけど……もし、嫌われて別れるって事になったら?」
「………悪いんだけど、それは無いと思う。どちらかと言うと一松兄さんの方が、カラ松兄さんより惚れ込んでる。見てて分かる。」
言いながら青ざめるトッティは言ってて気持ち悪そうだ。でも兄弟の為と必死に耐える。
「………分かった。やってみる。」
「はっきり言っとく!折れた方の負けだからね!」
念を押すトッティにカラ松は頷き家に戻って行った。
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