色松1
□まだ見えんの?
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「………なぁ、一松………そんな格好して……我慢大会でもしてるのか?また、倒れるぞ…?」
今日は、何も言う事の無い程の天気。TVでも今日の最高気温は32度だという。
そんなクソ暑く、扇風機しかない部屋で、一松は半纏を着、冬がけの布団に包まりカラ松を睨みつけている。
透視能力が付いたと、一松に告げてからはいつもあんな調子になっていた。
「……うるさい!…こっち見んな!」
ダラダラと大量な汗をかきながら、暑くて仕方が無い筈なのに、それらを取り払うつもりは無いらしい。
「……安心しろ。デカパンにこれを作ってくれと頼んであって、今日完成したんだ。」
「………何だよ…ただのグラサンだろ?」
「何を隠そう、これは俺の力でも透視出来ない様にしてもらったグラサンなのだ!!。だから、これを付ければ、普段通り、安心しろ、いちまぁつ。!」
そう言うカラ松に不信を抱きながらも、暑さにはかなわず、布団と半纏を取り払った。
「………暑かった……。……本当にそれ見えなくなんの?」
「あぁ、相変わらず、紫の七分丈のシャツだろ?」
一松の着ている服を言い、安心したのか、ほっとしている。
かなりの汗をかいていたらしく、一松はシャワーを浴びると言って部屋から出て行く。
一人になったカラ松は、一松の汗で湿っぽい半纏と布団を干す為ベランダに出ると、陽射しの強さに、少し外に出ただけでも汗がでる。中に入るなり、一松は頭を拭きながら戻って来た。
「!!!?」
「………どうしたんだよ?」
「……いや、何でも無い。いきなりだったからびっくりしたんだ。」
固まり、焦るカラ松に不信を抱き、一松はガン見する。
「……まだ、見えてるんじゃないの?」
「な、何言ってるんだい、いちまぁつ。それより、どっか涼みに行かないか?」
よそよそしい態度をとりながらも、暑い思いをさせたお詫びに一松を誘う。暫く考えると、冷たい物が食べたいと言う。
「なら、近くのファミレスに行くか…」
「良いのか!?……俺、今限定のかき氷が食べたいんだけど……」
そう言われ、カラ松は一松を連れて家を出た。