色松1

□一松事変リターンズ
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緩やかな昼下がり、珍しく鼻歌を歌いながら猫の餌の買い出しから帰って来た一松。茶の間の戸を開けると、脱ぎ捨ててあるカラ松のパーカー。
当たりを見回しても本人の姿がない。

(…カラ松の服…、ちょっと着てみようかな…)

大好きなカラ松の私物に、ドキドキしながら手を伸ばした。フワッと微かにカラ松の匂いが鼻を掠め、思わず顔を埋める。

(…カラ松の匂い…。何か落ち着く…)

自分の着ているパーカーを脱ぎ、カラ松のパーカーに着替えると、何だかカラ松に抱きしめられてる気分になり、嬉しくて一松はニヤけていた。

一人幸せを感じる中、部屋の戸が開きおそ松が現れ、一松は咄嗟にちゃぶ台にうつ伏せ寝た振りをする。

(や、ヤバいぃぃぃぃ!またやっちまった!やっちまったよぉぉぉぉ!つか、何でまたこのタイミング!?)

「あぁ〜、またパチンコ負けちゃった〜。やっぱ千円なんかあっという間だなぁ。」

(何、また前回と同じ!?つか、いい加減学習しても良いんじゃないの!?)

ちゃぶ台に頬杖を付きボヤくおそ松は、寝ている兄弟を確認する。

「あれ?コイツカラ松かな?でも何で一松のズボン履いてんの?あれ?一松のパーカーだ。アイツ服脱いでどこ行ったんだ?」

(しまったぁぁぁぁ!急な事で隠すの忘れてたぁぁぁ!変に勘ぐってないで、さっさと部屋から出てけよ!)

バレない様に、ひたすら寝た振りをする。冷や汗が流れ、心臓は張り裂けそうになる。
そこにタイミング悪くカラ松が戻ってきてしまった。シャワーでも浴びてたのか、濡れた髪を拭いていた。

(何ぃぃぃぃ!?カラ松戻って来たァァァ!……お、終わった…)

「何だ、シャワーでも浴びてたのか?一松。」

入ってきたカラ松を一松と呼ぶおそ松に、カラ松は顔を上げた。

(え"ぇぇぇぇぇぇ!?何だこの状況!?デジャブ?デジャブなのか?何でまた一松が俺の服を着たまま寝てるんだぁぁぁ!?)

「どしたの?一松。顔色悪くない?」

「……いゃ、だ、大丈夫…」

おずおずと座り、事の状況を理解しようと当たりを見回せば、上はカラ松、下は一松の格好をした一松が寝ている。

(アイツ何やっちゃってんの!?その服装、どうカバーすればいいんだぁぁぁ!?)

青ざめ汗が次々と流れる中、一松の顔が少し見え、カラ松を凝視している。

(一松ぅぅぅぅ!まさかの寝た振り!?もしかして、俺に丸投げする気か!!)

固まるカラ松に、おそ松は目の前で手をヒラヒラさせる。

「お〜い、一松?早く服着ないと風邪ひくぞ。」

「…あ、ありがとう…お、おそ松兄さん…」

一松のパーカーを渡してくるおそ松。震えながら服を受け取ると、袖を通した。
微かに香る一松の匂いに興奮しながらも、必死に平常心を保つカラ松。

「ところでお前、よくカラ松にズボン貸したよな?」

「…あ、あぁ…、な、なんか太ったらしくて…お腹苦しいって言うから…」

(カラ松、カラ松、カラ松ぅぅぅぅ!!やっぱり、カラ松は神だ!GODだ!もうカラ松BOYSから抜け出せないよ!!)

「ふ〜ん、そうなんだ。」

会話が続かず、静まりかえる部屋。
一秒が凄く長く感じて仕方がない。

(ヤバいヤバい!このままでは一松と服が交換出来ない!!どうしたらおそ松を追い出す事が出来るんだ!?)

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