色松1
□夏色模様
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吸い込まれそうな青い空。
白くそびえる入道雲は今にも襲いかかってきそうな様子で、存在感を醸し出す。
焼き付く様な日差しに加え、蝉の鳴き声が余計に暑さを増幅させた。
「あ"あ"〜あぢぃ〜、もうダメ〜、チョロ松扇風機じゃ間に合わないから、団扇で仰いで〜」
「何言ってるの!?つか、何で俺?俺だって暑いんだから、自分で仰ぎなよ!」
そう言って、おそ松に団扇を投げつける。
「えぇ〜、動くと余計に暑いじゃん!」
「それはこっちも同じだからね!それに夏休みの宿題してるんだから、邪魔しないでよ!」
チョロ松に怒られむくれるおそ松は、後ろでスイング練習をしている十四松に狙いを定めた。
「十四松ぅぅぅぅ、そんなに元気なら団扇で仰いくんない?」
「うん!良いよ!!それじゃぁ、いくよ――!おりゃぁぁぁぁ!!」
おそ松から団扇を貰う十四松。次の瞬間凄まじい風が巻き起こる。
「ぅおおぉぉおおぉぉぉぉ!?ちょっ、十四松止めて――!!宿題飛んじゃう――!!」
「ひゃ〜涼しい〜!チョロ松が仰がないからこうなるんだよ!」
「何でだよ!?普通は自分で仰ぐでしょ!!」
部屋中プリントが舞い上がり、チョロ松はそれを必死で集めようとする。
「でも涼しくて気持ちいじゃん。チョロ松兄さんって本当心狭いよね。」
「五月蝿い!トッティの方が余程冷血非道自己中じゃないか!つか、十四松ぅぅぅぅ、本当もう良いから止めて!」
未だに集められないプリントに振り回され、チョロ松の苛立ちが増す。
やっと止まった十四松の風に、ブツブツ文句を言いながらプリントを集めていると、目の前にいくつかのプリントが差し出された。
「おぉ、Brother〜、プリントはこれで全部かい?もし分からない所があったらこの兄が教えてあげよう。」
差し出されたプリントを受け取りながら、チョロ松は礼だけ述べると何も無かったかのように宿題を始めた。
「えぇー、もう終わりなの――!あちいじゃんかぁぁ!!」
「おそ松兄さんも少しは我慢してよ!暑い暑いって余計暑くなるでしょ!」
ガヤガヤ騒ぐ兄弟達をソファーの上からクスクス笑いながら一松が見ていると、隣にカラ松が座ってきた。
一瞬固まる一松は、横目でチラッとカラ松の様子を伺う。それに気付いたカラ松はニコッと笑うだけだった。