堕落した色松

□Triangle3
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部屋に戻るなり、起き上がり不安そうな顔で一松はこちらを見ている。

「……カラ、松は………?」

青ざめ怯えた顔をし、尋ねてくる一松に二人は首を横に振った。

「…一松兄さん、ごめんね……。そこまで一緒に帰ってきたんだけど…。」

ポロポロと泣きながら一松に近づき謝る十四松に「いいよ」と返事をすると、涙を拭いてあげる。
今の一松には、カラ松に会わせる顔が無い。どんなに拒んだとしても、カラ松を裏切った事には違わない。
どんなに優しいカラ松だって、今回だけは許してくれない。
一松は自分の為に泣いてくれている十四松の頭を撫でながら、奥歯を噛み締めた。

暫くして、夕飯が出て来ると、トッティは、自分とおそ松のご飯を持って二階へ、後の三人はちゃぶ台を囲んで食べ始める。

「一松兄さん、美味しいね!僕の唐揚げ一個あげるよ!」

「………十四松、ありがとう……」

何気無い十四松の行動に、一松は心が綻び、優しい笑みが零れる。
カラ松と付き合ってからだろうか、一松には何処と無く『色気』と言うものが現れ始めたのを、チョロ松は目の当たりにする。
凝視するチョロ松に気付き、一松が見れば慌てて目を逸らす。

(有り得ない━━━━!!同じ兄弟でこの差は何なんだ!?)

今一度、一松を盗み見れば、おそ松の付けた首筋の歯型と紅い跡が目に飛び込み、要らぬ妄想がチョロ松の頭を駆け巡る。
こんな時に何を考えてるんだと、チョロ松は首を激しく左右に振った。

「「??」」

そんなチョロ松を不思議そうに見る一松と十四松は、お互いの顔を見合わせた。






一方二階では、おそ松とトッティが黙々とご飯を食べている。
たまに、カラ松に殴られ、切れた口が痛いのかおそ松は、顔をしかめる。

「本当、自業自得だね。おそ松兄さんは!」

「うるさい!ってぇ……また血の味がする〜!」

「それで、これからどうするつもりな訳?」

ツンとしたトッティの口調に、皆に迷惑を掛けたと実感する。

「………………」

黙り込むおそ松に、トッティはため息をつき、ご飯を口に運ぶ。

「後悔するぐらいなら、やらなきゃ良いのに!」

「…………後悔してないんだ…。このまま二人別れないかなって思ってる。」

トッティの箸が止まり、おそ松を見ると直ぐに俯いてしまう。

「諦められないって事か……、もう、前みたいには戻れないって事だよね…。」

皆で馬鹿やって、冗談ばかり言ってはお互いに笑い、悪い事をすれば皆で逃げ回った。

「……すまない……。もう、自分を抑えられないんだ…。」


お互い俯き、静寂が二人を包んだ━━━━

To be continue
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