メ ン バ ー 内 恋 愛 し ち ゃ い ま し た 。
□Face to Face
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電話じゃ伝わらないことだって、
LINEじゃ伝わらないことだって、
目と目を合わせたら伝わるんだね。
俺と健ちゃんが付き合ったのは、今から3か月も前のこと。
告白したのは、俺だった。
自分でもわかんないほど、気がつけば目で健ちゃんを追うようになっていって。
…このこと、メンバーには言ってない。
グループにとって今が一番大事な時期だということは充分わかっている。
二人であれこれ考えたがゆえの結果だった。
だから寂しいけど、メンバーといるときの健ちゃんは敬語だし、もちろんキスだってしてくれない。
………最後にキスをしたのは、いつだっただろうか。
最近、個々の仕事が増えてきて、ありがたいことに俺たちは忙しい日々を送っている。
もちろんそれは、ありがたいこと。
だけどそうなると、自然と健ちゃんに会える時間は減ってしまうわけで。
やっと会えたと思ってもメンバーがいて、ここ最近はまともに手を繋いだり、キスをしたり、そういうことが出来ない状況ってわけ。
だからこうして、優しい健ちゃんは毎日電話をくれるんだ。
今日の東京はいつになく冷え込んだ。
仕事終わりは、健ちゃんからもらったマフラーに顔をうずめて夜道を歩く。
こんな日はどうしようもなく人肌が恋しい。
…ああ、寂しい。
家に帰っても、お帰りを言ってくれる人なんていない。
寂しさに潰される前に寝てしまおうか、なんて考えていたら、着信を知らせる音楽。
相手はもちろん、健ちゃんからで。
『もしもし、直人さん?』
そんな健ちゃんの関西訛りな声を聞くだけで、思わず鼻の奥がツンと痛くなる。
「健ちゃ…ん……」
『なに、いきなり泣かんとってや笑』
“会いたい”
そう伝えたいのに、口に出せない。
忙しい健ちゃんを困らせてしまうんじゃないかって。
そんなことを考えたら言えなくなっちゃって。
代わりに頬を伝う涙が止まらない。
『………俺な、何も言わんでもわかるから。』
「なにが?」
『………直ちゃんが今、何を考えてるんかなーって。』
「直ちゃんって…」
『たまにはええやろ?笑』
ふふ、っと笑った健ちゃん。
今どんな顔で、笑っているんだろう。
『何も考えなくていいから、もっと素直になってええから。
俺は迷惑とか思わへんし、そんなん。
だから今、直ちゃんが思ってること、ちゃんと言葉にしてほしい。』
ああ、やっぱり敵わないや。
だってほら、こんなにも俺の心を溶かしてくれるのは健ちゃんしかいないもん。
その優しさも強さも、何もかもが愛しすぎて苦しくて、涙がこぼれる。
「………会い…たい…っ健、ちゃんに…会いたいよぉっ……!」
ずっと胸でつっかえてた言葉、想いがどんどん溢れ出してく。
どんなに嗚咽混じりで聞きにくくても、それでも健ちゃんはただ笑って聞いてくれる。
すると、ふいにガチャ、っと家の鍵が開く音。
泣いたせいで少しだるい体を起こし、玄関に向かった。
____お待たせ。
そこにいたのは、俺が今一番会いたかった人だった。
「なんで………」
訳もわからず立ち尽くす俺を、健ちゃんはこれでもかってくらい、強く強く抱きしめた。
健ちゃんのジャケットは外の空気のせいかひんやりと冷えている。
それでも健ちゃんに包まれるだけで、何とも言えない温かさを感じた。
「直人さんが、可愛いこと言うから、健ちゃん来てもうたわ。」
「健ちゃん………!」
「ずっと、会いたかった。」
「………俺も…っ!」
今日の東京は冷え込んだ。
はぁ、と吐いた息が白く染まるくらいに。
それでもこの夜は、温かかった。
ちゅっ、と触れた唇が、熱を帯びた。
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