お姉ちゃんシリーズ
□お色気の術!!!
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所変わって、忍者アカデミー。
「明日は忍者学校の卒業試験だぞ‼」
教室内にイルカの怒鳴り声が轟く。その目の前でナルトはぶすくれていた。
(ちぇっ、つっまんねーってばよ。あぁーなーんかお姉ちゃん姉ちゃん怒ってたなー。帰ったらお説教…ツライってばよ)
「前回も前々回も落ちてるんだぞ‼外でイタズラしてる場合じゃないだろ!バカヤロー‼」
まだ続いているイルカの怒りを聞き流し、姉の事を考えながら生返事を返す。
「はいはい」
途端に空気がピシリと固まった。ワナワナと震えだしたイルカに、ナルトも流石に真面目にしなくてはと姿勢を正す。
その瞬間…
「…今日の授業は変化の術の復習テストだ!全員並べーーー‼‼」
イルカの一言に教室内がブーイングの嵐に包まれた。
それでも、全員がシブシブ準備をする辺りは子供らしく可愛らしい。
「よーし、全員並んだな!じゃ、一人ずつ先生に化けること‼」
突然のテストとはいえ、さすがに卒業試験が明日に迫っている中失敗する者はおらず、どんどん列が進んで行く。
「おい、ナルト。お前のせいだぞ」
そばに並んだクラスメイトたちから小さな声で愚痴られる。素っ気なく知るかと返して、自分の番が来るまで脳内で愚痴を溢した。
(ったく、何で試験前にテストなんかするんだっつーの。…しっかし、普通の変化じゃ面白くねーってばよ。あー今日の晩ご飯何だろ?姉ちゃん怒ってたもんなー)
ツラツラ考え事をしている間に前のヤツがテストを無事に終えていた。
「次、うずまきナルト!」
イルカの声に合わせて前に出る。
(!よーし‼やってやるってばよ‼)
「変化ッッ!!!」
ボゥンと煙を上げて、出てきたのはお姉ちゃんだった。ただ一つ本人と違うのは、一糸纏わぬ姿だという事。
鼻血を盛大に吹き上げながら倒れたイルカだが、その目にはシッカリとその姿が焼き付けられた。
「どうだ!名付けて“お色気の術”っ‼」
すぐに元の姿に戻ったナルトは、鼻血を吹き出したイルカを指差しながらギャハギャハと笑う。
しばしの沈黙の後、本日一番のイルカの怒鳴り声がアカデミーに響き渡った。
「こんの…大バカものーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
そうして、卒業試験の前日の1日は終わりを迎えた。