お姉ちゃんシリーズ

□カランコエは幸福を告げる
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忙しなく髪のブローを始め、化粧を終わらせたいのは、すでに店を開けているだろう姉の所へと顔を出した。

「あー、いのじゃない。おはよ。」

店先にたどり着いたいのに声をかけたのは、恋のライバルサクラの担当上忍であるカカシだった。

「あれ?カカシ先生?おはようございます?」

「なーんで疑問形なのよ。」

木の葉の忍びの中でもダントツの実力を誇り、ダントツの怪しさを醸し出す男である。
はて、なぜ此処に?と思うも、とりあえず急ぎなので姉に声をかける。ちょうど小さなブーケをまとめている所だった。

「姉さん、行って来るわね。」

いのの声に反応したお姉ちゃんの頬はほんのりと色付いていた。

『あ、いの!ちょっと待って!』

はて、今日はあんなにチークつけてたかしらと考えつつ踵を返したいのに、お姉ちゃんの手が伸びた。
くるりと振り向けば、耳のあたりからふわりと花の香りがする。

『カランコエよ。今日は里の警備なんでしょう?何も起こらないように、ね。』

「わ、姉さんってばキザね!でも、嬉しい!ありがとう、行って来るわ!」

カランコエの花言葉は色々あれど、今日はきっと【あなたを守る】だ。姉の心遣いに嬉しくなって笑顔で駆け出すいのだったが、ふいに振り返り姉に向かって一言告げた。

「今朝の話の相手、帰ったら教えてちょうだいよ!」

『っ!いの!』

手を振りながら言った言葉に、一気に顔が赤くなった姉を横目に入れて、いざ待ち合わせ場所へ駆け出そうとした時。店先にいる上忍も目に止まる。
そこで、いのの恋愛センサーはピンと来てしまった。朝はやっぱりチークは入れてなかったな、と。

「いのは元気だねー。気をつけていくんだーよ?」

その気の抜ける、けれども低めの声にはぁいと返事を返して走り出したいのは、悪くないな、と思った。

ちょっと変態っぽいけど、7班を見ていれば素敵な先生なんだと自然と分かる。
姉のお姉ちゃんのことも、守ってくれそうだ。

ふふっと笑みを浮かべながら、いのは今日の待ち合わせ場所へ急いだ。
まだ任務についてもいないのに、もう帰るのが楽しみだ。






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