短編集

□昔話
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「…なるほどな」
俺の話を聞き終わったアンクは、アイスを齧りながら呟いた。
「今でも仲がいいのは長い間一緒にいたおかげか」
「そうだなー。俺にとってアイツは相棒で、仲間だからな!まあ、今なら俺の手でアイツをけちょんけちょんのペラッペラに出来るけどな」
「誰をけちょんけちょんのペラっぺラにするって?」
びくり、と思わず肩が跳ねる。アンクは意地の悪い笑顔を浮かべて顎をクイッと動かした。
恐る恐る後ろを振り向くと…。
「いつからそんなに強くなったのかな?」
満面の笑みを浮かべて仁王立ちしている結希と目があった。
「ゆ、結希、これは」
「問答無用!」
「あ、ちょ、待てって!アンク、助け…」
アンクは我関せずと言った表情でアイスを齧り続けていた。
「裏切り者ーーーー!」
叫びながらもひたすらに逃げ回る。
追いかけられるこの感覚。
懐かしい、と口角が上がるのを抑えられなかった。


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