短編集

□風邪
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「うー…」
現在時刻、朝8時。
何時もなら既に起きている時間帯なのだが…。
「頭痛いー…」
あと寒気。
体温を計るまでも無く、風邪だ。風邪を引くような事をした覚えは無いのに、と心の中で毒づく。
流石にそろそろご飯を作らないと…アンクが怒る…。
必死に動かない身体を引きずって1階へ降りると、イライラした様子のアンクと目が合った。相当待っていたらしかった。私を見た途端に怒鳴りつけてきた。
「おい結希!遅いんだよ!」
「…ごめん」
何事も無いように装いながら、味噌汁と野菜炒めを作ってテーブルへ並べていく。
「おい」
「え?」
「食わないのか?」
なんだ?珍しい…。でも、アンクに迷惑はかけられないしなぁ…。
「食欲が無いだけだよ、ちょっと寝てくる。…食器は水に浸けといて。」
このままだと、アンクに甘えてしまいそうだ。さっさと寝よう。寝れば治る筈。
そう思った私は、アンクの顔も見ずに、おぼつかない足で自分の部屋へと戻った。
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