クリスタル横丁

□軒下物語
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雨の日――シャッターの降りた書店の軒下――


ジタン「雨が降ってくるなんてついてないな〜」
ティーダ「傘持ってないのがまたついてないッスよね〜」
エース「さっきまであんなに晴れていたのにな」
スコール「梅雨の時期は天気が不安定で困るな」
クラウド「早く晴れてくれるといいな・・・」


バシャバシャ・・・

バシャバシャ・・・


ティーダ「他の人たちも傘忘れたっぽいッスね〜」
ジタン「・・・ガーネット、おつかいに出てねーかな」
エース「どうしてだ?おつかいで外に出てたらガーネットも濡れてしまうだろう?」
ジタン「それでもしも濡れててさ、ここを通ったら入れてあげられるじゃん?あ、でもお前らは濡れたガーネット見るなよ!!」
クラウド「ここを通ったらな」
ジタン「いやいや、ガーネットはおつかいがある度にここを通るだんよ。だから僅かな希望を持ってさ〜」


スコール(雨に濡れたリノア・・・)

ティーダ(雨に濡れたユウナ・・・)

エース(雨に濡れたデュース・・・)

クラウド(雨に濡れたティファ・・・)

五人(絶対にこいつらに見せん)


バシャバシャバシャッ!


ティーダ「お?誰か走って来るぞ!」
ジタン「ガーネットか!?」
エース「いや、もしかしたらデュースが―――」

ネロ「すいません、入れてもらえませんか?」
ヴァイス「急に降られてしまってな」

ジタン「お前らかよ!!!!」
ティーダ「返せ!俺達の純情と希望を打ち砕きやがって!!」

ネロ「え?何の話ですか?」

クラウド「気にするな、儚い妄想をしていただけだ」
スコール「それよりもこんな所に駆け込まなくてもネロの闇でも使ってディープグラウンドに帰ったらどうだ」

ネロ「そんな人の闇を『どこで〇ドア』みたいに」

クラウド「実質『どこで〇ドア』みたいなもんだろ」
ティーダ「或いはキングダムハ〇ツの『闇〇回廊』!」
クラウド「やめろ」

ネロ「今ちょっとメンテナンス入ってて使えないんですよ」

クラウド「メンテナンス!?」

ネロ「緊急メンテナンスだったものでして・・・」

クラウド「緊急メンテ!?機械的なシステムだったのか!!?」

ネロ「そういう訳で緊急メンテ入るギリギリ前に地上に来れたのですが終わるまでは帰れないんですよ」

ジタン「でもそういうのって場合によっては一日中かかったりするよな」
ティーダ「そーそー、原因不明の症状により長期化が見込まれますつってな」
エース「最悪の場合は長期メンテナンスの末にサービス終了なんて場合も・・・」

ネロ「残念なアプリみたいな事言わないで下さい!!」

スコール「だがディープグラウンドと切り離された以上はこいつらの弱体化も時間の問題なんじゃないか?」
クラウド「増援も見込めないままジリ貧を強いられる訳か」

ネロ「ヒーローの癖にせこい事を考えるんじゃありませんよ!」

クラウド「世界の平和の為にも時には非常になる事は大切だ」
エース「それに世界殺戮計画を目論んでる悪の組織に言われる筋合いはない」

ネロ「ぐうの音も言えませんよ・・・」
ヴァイス「悔しがる事はない、ネロ。俺達二人にかかればこんな奴らなんざ一瞬だ」
ネロ「そうですね、兄さん」
ヴァイス「だからとりあえず雨宿りするぞ」

ティーダ「うおっ!入って来るぞ!!」
ジタン「入ってくんなこのやろう!!雨も滴る良い男(笑)なんだから雨に濡れてろよ!」

ネロ「その『(笑)』の中身を『(真実)』に訂正しなさい!!」

クラウド「うるせーんだよお前ら!!それからアホな訂正を要求してんじゃねぇ!!」











一方その頃、定休日の時計屋の軒下では・・・


エルオーネ「まさか雨が降るなんて・・・傘、持ってきてないなぁ・・・」


バシャ・・・バシャ・・・


エルオーネ「あら?―――オーナー!」

セフィロスオーナー「・・・」

エルオーネ「オーナー!」

セフィロスオーナー「・・・」

エルオーネ「無視しないで下さいよ!」

セフィロスオーナー「無視をしていたのではない。他人のフリをしていただけだ」

エルオーネ「変わりませんよ!今日はもう帰りですか?」

セフィロスオーナー「それがどうした」

エルオーネ「悪いんですけど後でお金払うので傘を買ってきてもらっていいですか?」

セフィロスオーナー「嫌だ面倒だ断る」

エルオーネ「ですよね・・・じゃあ近くまで入れてってくれませんか?」

セフィロスオーナー「たった今傘が壊れた」


パタン(傘を閉じる)


エルオーネ「バリバリ開いてましたよね!?」

セフィロスオーナー「いや、壊れた。傘の骨が複雑骨折して壊れた」

エルオーネ「そしたら派手な音がしますよ!」

セフィロスオーナー「雨の音に紛れて聞こえなかっただけだ」

エルオーネ「随分繊細な複雑骨折ですね」

セフィロスオーナー「そういう訳だ、後で捨てておけ」


ぐいっ(傘を無理矢理エルオーネに渡す)


エルオーネ「え?」

セフィロスオーナー「じゃぁな」

エルオーネ「あ、オーナー!」


パシャンパシャンッ!(傘も差さずに雨の中駆け寄る)


エルオーネ「風邪引きますよ?」
セフィロスオーナー「お前と違って軟な体はしていない。そういうお前こそ鼻水を垂らしたいのか」
エルオーネ「傘、壊れてるから開かないんです。それに帰ったら風呂に入って温まればいいですし」
セフィロスオーナー「フン・・・」


ザァアアア―――・・・


エルオーネ「明日晴れてくれるといいですね。洗濯物が溜る一方で困りますよ」(←ブラウスが濡れて下着がうっすらと透けている)
セフィロスオーナー「・・・」


バサッ(背広をエルオーネに着させる)


エルオーネ「きゃっ!?オーナー?」
セフィロスオーナー「着ていろ」
エルオーネ「え?」
セフィロスオーナー「荷物持ちだ」
エルオーネ「鞄ならともかくスーツの背広の荷物持ちなんて聞いた事ないですよ」
セフィロスオーナー「そうか、ならば鞄も持て」
エルオーネ「あ、嘘です!背広だけ持たせていただきます!」
セフィロスオーナー「適当に乾いたら後で返せ」
エルオーネ「はーい」
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