クリスタル横丁

□楽しい楽しい町探検
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ユフィを助ける為、そしてヴァイスに早々に立ち去ってもらう為にエースが選んだ楽しい場所・・・それはチョコボ牧場だった。

「・・・なんだここは?」
「知らないのか?チョコボ牧場だ」
「そのくらいは知っている。何故こんな所に連れてきたのかと聞いている」
「僕が楽しいと思う所に連れて行けと言ったのはそっちだろ」
「お前・・・こんな所が楽しいのか?」
「ど、どういう意味だ!?楽しいだろう、チョコボ牧場!デュースがいたら演奏してくれてチョコボマーチが見られるんだぞ!?」
「いや、もういい。俺が悪かった」
「何でお前が謝るんだ?」
「それより、俺がこんな所よりももっと楽しいものを教えてやろう」

「おいコラ、エースに変な事吹き込もうとすんな!」
「ついでにお前にも吹き込んでやろう」
「ふざけんな!!」

そんなこんなでエースとユフィはヴァイスが言う楽しい所へと連れていかれるのであった。

















そうして辿り着いたのはクリスタル横丁の郊外にあるモンスター闘技場。
人気の娯楽施設だが、万一の事を考えて横丁の中心部から離れた所に作られたのである。
ゴールドソーサーの闘技場との違いはルーレットがない事と、挑戦するランクごとにモンスターの強さが違う事、また二人で組んで大型モンスターに連続で挑むコースがある事だ。
今も腕に自信のある戦士がモンスター相手に奮闘している。
それを観客席から眺めながらユフィはやや呆れたように言い放つ。

「なんとなーく予想はしてたけど、やっぱここがアンタの楽しいと思う所なんだね」
「そこの小僧がいなければホテルで火遊びを教えていたんだがな」
「ふふふぶけんな!!!」
「大丈夫だユフィ、今すぐヴィンセントとセフィロスオーナーを呼ぶぞ」
「やめろ、ただの冗談だ」
「嘘付け!絶対やるつもりだっただろ!!」
「それより小僧、ここはどうだ?楽しい場所だろう?」
「いや、僕は別に・・・あぁでも、ナイン辺りが喜びそうな場所ではあるな」
「ここは大人気のデートスポットだぞ」
「そうなのか?」
「ああ、そしてここでデートをして口づけを交わした男女は永遠に結ばれるというジンクスがある」
「本当か!?」
「おいコラ!エースに変な事教えるなって言ってるだろ!!」
「ククク、中々面白い奴なのでついからかいたくなってな」
「エースで遊ぶな!そんでエースはメモ取るな!コイツの言ってる事嘘だから!!」
「そうなのか!?」

エースは驚いたような、ショックを受けたような表情でペンを動かす手を止めた。
どうやら本気で信じていたらしい。
戦闘や物騒な分野に関しては知識豊富だが一般的な分野に関しては全くの無知、感覚がズレている。
流石は謎多きドクター・アレシアの秘蔵っ子である。
今まで恐らく戦闘関係の知識しか教えてこなかったのが伺える。

「全部が嘘ではない。人気のデートスポットである事に間違いはないからな。
 見ろ、そこかしこにカップルがいるだろう?」
「だからって後半で大嘘こくな!!」
「今から俺とお前で嘘を真実にするのはどうだ?」
「断固拒否する!!」
「ワンタッチでヴィンセントとセフィロスオーナーを―――」
「だからやめろと言っている」

「チッ」と舌打ちをしてヴァイスは仕方なくユフィから距離を取ってやる。
ヴィンセント辺りならギリギリどうにかなる気がしないでもないが、セフィロスオーナーは本当に厄介だ。

「てかさぁ、アンタここでモンスターと戦って満足して帰りなよ。アタシとエースはご飯食べて帰るからさぁ」
「俺一人を仲間外れにするとは悲しいな。無理矢理にでもついて行くぞ。
 それに言った筈だ、そこの小僧が楽しいと思う所に俺を連れて行って満足させるまで解放しないとな」
「げぇ、やっぱ覚えてたか」
「なんだったらお題を変えてやってもいいぞ?ユフィ、お前が美味いと思う店に俺を連れて行って俺を満足させてみせろ」
「・・・なぁ、これっていくらヴァイスが楽しめてもヴァイスが満足しないと言い張ったら永遠に続くよな?」
「よく言ったエース!!」
「フッ、今回はそんな卑怯な真似はしないから安心しろ」
「“今回は”って何だよ“今回は”って!!」
「俺からの温情だ、感謝しろ。それより早くお前の美味いと思う店に連れて行け」
「あーもうっ!分かったよ!!」

ヴァイスに急かされ、仕方なくユフィは二人をレストランへと連れて行くのであった。















そんなこんなで到着したのは『よろず食堂』という食堂兼居酒屋。
昼間は普通の食堂だが、夜は騒がしい居酒屋になる店だ。
三人はカウンター席に座ってご飯を食べていた。
ユフィはカツ丼、、エースはラーメン、ヴァイスはとんかつ定食だ。

「まぁまぁの美味さだな」
「まぁまぁ美味しいならそれでもう満足して帰ってよ」
「俺の気分次第だな」
「むー。アンタさえいなければエースを向かいにあるパスタ屋連れてってあげたのに」
「あそこは美味しいのか?」
「うん、美味しいよ。サイドメニューでグラタンとか注文出来るし、デザートも美味しいんだよね〜」
「それでワインも出るからデートにはもってこい、という所か?」
「そうそう、闘技場見た後のランチに・・・って、何言ってんだよ!!?」
「お前があのパスタ屋を見て何やら考え込んでいたのでな。
 飯が来るまので間にどんな店か調べさせてもらった。よくカップルが来る店で人気らしいな?」
「ぜ〜〜〜ったいに余計な事すんなよ!!絶対だかんな!!」
「さて、どうしような?」
「ん?ユフィは好きな人がいるのか?」
「べべべべ別にいないし!!好きな人とかそんなんいないしっ!!!」
「知らないなら教えてやろうか?コイツの好きな男はな―――」
「んん?」
「そこ!女子特有のひそひそ話をしようとするな!!」

顔を真っ赤にしながらユフィはヴァイスとエースのひそひそ話を妨害するのであった。
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