クリスタル横丁

□楽しい楽しい町探検
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ここは世界のどこかにある地下帝国・ディープグラウンド。
賭博・闘技場・闇カジノ・・・あらゆる欲望が集う地下の街。
ここでのルールは一つ、地上の世界にここの事を持ち出さないこと。
ただでさえWPOに目を付けられているというのに、ここの所を持ち出されては面倒で仕方ない。
そんな訳でここの事を持ち出そうとするものはヴァイスを始めとしたツヴィエート部隊が速やかに排除している。
今日も地下の世界は平和だ。




クラウド「どこが平和だ!!物騒に物騒が上乗せされてるだけだろ!!」




「不思議ですね、金髪のツンツン頭さんのツッコミが聞こえた気がしました」
「ネロもか。実は俺も聞こえた気がした」
「やはり僕たちは兄弟ですね」

ここはディープグラウンドを一望できるエンシェントタワー。
ヴァイスとネロの白黒兄弟は二人並んで目下の欲望渦巻く街を見下ろしていた
そして同時にクラウドのツッコミを感じていたのである。

「ところでネロ、俺は今日はクリスタル横丁に行ってくる」
「気をつけて下さいね、兄さん。夕方までには帰ってきて下さいよ」
「ああ、分かっている」

そんな訳でヴァイスはクリスタル横丁へと出かけるのであった。















そうしてやってきたクリスタル横丁。
ビルの上から眺める街は平和を体現していてなんとも退屈そうだ。
だが、こんな平和ボケしてて退屈そうな街をいずれ自分が破壊するのだと思うと今からゾクゾクが止まらない。
いつになるかは分からないが、破壊する予定に入っているのは明らかである。
しかしその前に警戒しておくべき人間をもっと観察しておかなければならない。
そう、その人間とは―――

「ヴィンセンとー!」

警戒すべき人間の名前が耳に入ってそちらに注目する。
すると、警戒すべき人間―――ヴィンセント・ヴァレンタインとそれに駆け寄る少女の姿が見えた。

(ウータイの忍びの・・・ユフィ・キサラギだったか)

ネロの情報では最近はヴィンセントと一緒にいるのをよく見かけるのだとか。
ユフィは妙にヴィンセントに懐いており、ヴィンセントの方も満更でもない様子なのだとか。
ふむふむ、これは面白そうだ。

「―――てな訳でさ、宜しく〜!」
「ああ、判った」

何事かを伝え合った二人はそのままその場で離れた。
今がチャンス。

「さ〜て、今日はこれからどうするかな〜」
「俺と少し散歩でもしようか」
「え〜?散歩〜?もうちょっと楽しい事―――」

ユフィは振り返った事を後悔した。
心底後悔した。
声の時点で速攻で逃げなかった自分を激しく責め立てた。
けれど全ては後の祭り。
逃げようと試みたユフィの腕は既にヴァイスに掴まれていた。

「・・・放せ」
「そう固い事を言うな。俺と楽しい事をしよう」
「は〜な〜せ〜!!!誰がアンタなんかと楽しい事なんかするか!!サボテンダーと戯れてた方がまだマシだっての!!」
「サボテンダー以下とは心外だな」
「ヴィンセンむぐっ!」
「あまり喚くようならこちらも手段は選ばないが?」

口を抑えられ、ヴィンセントを呼ぶ声を封じられる。
手も掴まれてるもんだから携帯も使えない。
まさに絶体絶命のピンチ。
その時―――

トスッ

「ん?」

「はっ!」

ヴァイスの踵近くにカードが刺さる音がしてから一秒後にヴァイスの背後にエースが現れる。
魔法のカードによる接近攻撃は、しかし寸での所で避けられてしまった。
ユフィを人質に取ったままヴァイスが尋ねる。

「何だお前は」

「ただのユフィの友達だ」

「エース!!」

「ほう、貴様がエースとやらか」

「純白の帝王・ヴァイス、今すぐユフィを離せ!でなければ僕が相手だ!」

「フン、紙装甲と呼ばれる貴様に何が出来る!!」

「僕の戦闘服は綿100%だ!紙なんかで出来ちゃいない!!」





クラウド「そっちの事じゃねーよ!普通に考えて違うだろ!!」
ティーダ「うおっ!?どーしたンスか急に?」
クラウド「いや、なんだかツッコミを入れなきゃいけない気がして・・・」
ジタン「これもツッコミ担当の性だな」
スコール「とりあえず座れ。周りの目が気になる」
クラウド「ああ、すまない」





「(別の意味で)面白いな、貴様。気に入ったぞ。今回は手荒な真似はしないでやろう」
「ならユフィを離せ」
「俺を満足させられたらな」
「何?」
「お前の思う楽しい場所に連れて行って俺を楽しませてみろ。そしたらユフィを解放してやろう」
「そんな言葉を信じるとでも思うか?」
「俺は約束を守る男だ。なんだったらハンデを付けてやってもいいぞ?」
「なら、ワンタッチでヴィンセントとセフィロスオーナーを呼べるようにさせてもらおうか」
「・・・何故後者もついてくる?」
「多分、暇なんだと思う」
「は?」
「この緊急招集ボタン〜個人VER〜には時々セフィロスオーナーも付随してくる。
 どうやって何をしてシステムに付随してくるのかはあのシェルクたちでさえ判らないらしい。
 とにかく、このボタンワンタッチでヴィンセントの他に漏れなくセフィロスオーナーもついてくるぞ」
「・・・いいだろう」

(よっしゃ!この時だけはセフィロスオーナーナイス!!)

ヴァイスが渋々条件を呑んだ事にユフィは心の中でエースにガッツポーズをして喜んだ。
そして三人はエースが楽しいと思う場所に移動するのであった。
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