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□相談したい
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その後、クラウドと共にセブンスヘブンに戻ったヴィンセントはクラウドと一緒にネットでクラウドの知り合いの店に組み立てパソコンを申し込んで家に帰った。
途中、コンビニで適当な弁当を買って手早く済ますと早速模型造りに取り掛かった。
普段は片付いていて何もない卓袱台は今やボンドやらハサミやら素材が広がっていて散らかっている。
そんな風に黙々と作業に勤しんでいるヴィンセントの元に一件のライン通知が入ってくる。
『今通話していい?』
ユフィからのメッセージだ。
ヴィンセントが『ああ』とだけ送ると3秒後にユフィからのライン通話が入って来た。
『よーっす!』
「どうした」
『今日クラウドにパソコンの相談する日だったからどーなったのかなーって思ってさ。どーだった?』
「クラウドの知り合いに組み立てパソコンを注文する事になった」
『へーマジで?スペックどんなの?』
「ページのロード時間が早くて容量を少し多いものにしてもらった」
『お、いーじゃん。他には何か付けてもらわなかったの?』
「ブルーレイやDVDを再生する為の機能もつけてもらった」
『ならこれでパソコンで色々見れんね』
「既にDVDデッキがあるがな」
『それブルーレイもちゃんと対応してんの?』
「・・・」
『対応してないだろ?』
「・・・多分、な・・・」
頑張ってDVDデッキの説明書を思い出してみるが、どう頑張っても『DVD対応』の文字しか思い出せない。
『ブルーレイ』対応の文字はなかったような・・・。
『今時はブルーレイが多いから対応してないDVDデッキじゃ再生出来ないよ』
「覚えておこう」
『ところで今何してんの?なんか切ったりする音が聞こえるけど』
「アイスクリーム屋台の模型を作っている」
『アイスクリーム屋台!?』
すると、電話口の向こうでユフィの笑う声が流れ出した。
恐らく女性向でファンシーなアイスクリーム屋台をせっせと製作している所を想像しておかしくなったのだろう。
だがそれも無理もない。
普段はそんな可愛らしい物とは一切無縁の男が久々の模型作りとして手を出したのがアイスクリーム屋台なのだから。
『何でわざわざそんな可愛いもの・・・アンタの事だから飲み屋の屋台とか縁日の屋台とか作ると思ってたよ』
「なんとかくアイスクリーム屋台の方がやり応えがありそうだったからな」
『完成したら見に行っていい?』
「好きにするといい」
『んじゃ完成したら教えろよ〜』
「・・・それから」
『ん?』
「チョコボのミニボトルシップを作った」
『え?何その可愛いの塊決定な物?それも材料をピンセットとかでボトルの中に入れて完成させるやつ?』
「いや、これはかなり簡単な物だ。ボトルと言っても本物のガラスではない別の素材で作ったもので、
ボトルの底の部分が開閉可能な物でそこから海賊船に乗ったチョコボを入れるという寸法だ」
『ふ〜ん。初心者の入門にもならなそう』
「よければいるか?」
『え?いいの?』
「何となく買った物だ。値段も大した事はない」
『可愛かったら欲しいな〜。後で写真送ってよ』
「ああ、分かった。そろそろ寝るが切ってもいいか?」
『うん。おやすみー』
「お休み」
通話終了ボタンを押してユフィとの短い通話を終える。
ああは言ったものの、本当はチョコボのミニボトルシップを見てユフィが気に入るだろうと見当をつけて買ったのだ。
そして見事にその予想は当たった。
それが少し嬉しくて、なるべくいい角度でチョコボのミニボトルシップを撮影してユフィに送った。
すると―――
『可愛い〜!今度ちょーだいね(*´∀`)』
というメッセージが返って来た。
なので『ああ』とだけ打って返して本日のユフィとのやり取りを終えた。
「片付けるか」
広げていた材料や道具を下に敷いてた―――元々入れてあった袋に入れて纏めて行く。
まだまだ土台が作り終わった段階だが完成する日はそう遠くはないだろう。
しかし完成した時、どうやってユフィに見せようか?
先程のように写真を撮って送るか、それともここに呼んで見せるか。
(出来る事ならば・・・呼びたい、な)
完成したアイスクリーム屋台を見て『凄いじゃんヴィンセント!』とユフィに褒めて欲しいと思った。
だがいきなり呼んでしまってはユフィも驚いてしまうかもしれない。
だからちゃんとユフィにどうするか聞いてみなければ。
「半端な仕上がりには出来ないな」
久々の感覚を取り戻す為のものとして購入した物なのに、本気で良い出来に仕上げなければならなくなった事にヴィンセントは苦笑を漏らしながらも楽しい気持ちで満たされるのであった。
END