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□相談したい
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「アンタが・・・パソコンを・・・!?」
「・・・その反応は既に見た」

ショッピングモールのフードコートで昼食を摂りながらクラウドとヴィンセントはそんなやり取りをしていた。
クラウドにパソコンの相談をしていたヴィンセントだったが、この間のユフィやティファと同じような反応を返されて呆れたように呟く。
そんなに自分がパソコンに手を出すのが意外なのか・・・いや、携帯を持っていなかった時にマリンに「信じられない!」と言われたくらいだ、そう思われても仕方ない。
クラウドは「ああ、すまない」とすぐに謝ると話を続けた。

「俺もそんなに詳しい訳じゃないが・・・どんなパソコンがいいんだ?」
「別に性能はそこまで求めていない。普通に使えればそれでいい」
「そうか・・・実は俺の知り合いにパソコンの組み立てをやってる奴がいるんだ。
 そいつに頼めば少しは安くしてくれるだろうし、もしもスペックを拡張したい時が来たらすぐに対応してくれると思うぞ」
「電気屋で売られているパソコンはダメなのか?」
「それでもいいと思うがきっと高いぞ。いざという時に拡張も出来ないだろうし」
「拡張は今の所考えていないが・・・安く済むなら何でもいいな。あまり金をかけようとは思っていない」
「なら俺の方で申し込んでおくよ。支払いはカードで大丈夫か?」
「ああ」
「じゃあセブンスヘブンに帰ったらやろう。ここでの買い物はすぐに終わりそうか?」
「場合によっては」
「何を買おうとしてるんだ?」
「・・・売り場に行ってからのお楽しみだ」
「?」

別に大した事じゃないのに敢えて秘密にする自分を幼いと思う。
でも同時にそうするのも楽しいと思った。










フードコートでの昼食を済ませたヴィンセントはクラウドを引き連れてオモチャ売り場のプラモデルコーナーにやって来た。
ロボットやキャラクターや船、ミリタリー、乗り物、建物など様々なプラモデルや模型のキットなど目を惹く物が山ほどあった。
他にもプラモデル用の道具も沢山置いてあって中々の充実ぶりだった。
これならばすぐにでも道具を買い揃えられるだろう。
しかし久しぶりに手を出すので最初は組み立てるだけの物にするとしよう。

「意外だな、アンタがこのコーナーに来るなんて」
「幼い頃にボトルシップを組み立てたりした事があるのでな」
「ふーん。ジグソーパズルとかなら分かるがそういうのもやってたんだな」
「ジグソーパズルもやっていた。父親がいくつか持っていた千ピースパズルを何度も崩しては完成させていた」
「アンタらしいな」
「お前はプラモデルなどは作った事はあるのか?」
「それなりにな。でも田舎だから種類も少なくて流行りの物とかの入荷なんて殆どなくて組み立てたらまた解体してた。
 ミッドガルに上京してこういう売り場を見た時は驚いたよ。やっぱり都会は違うなって」
「購入して組み立てたりしたのか?」
「ミリタリーを一個だけ買ったが時間がなくて結局開封せずに終わった」
「ならば再挑戦してみるか?」

挑発するように言ってみせればクラウドは不敵に笑ってバイクのプラモデルの前に立った。
やはりバイクに食いついたか、と思いつつ自身もプラモデルを選ぶ。
乗り物はあまり興味はない。
ロボットもあまり興味がないので除外する。
そうなると建物や箱庭系になる。

(キャラクターや動物もあるのか)

チョコボやモーグリ、サボテンダーなどの塗装済みのプラモデルを見つけて関心する。
手始めにこういうのを組み立てるのも悪くないだろう。

(これは凄いな・・・)

建物系を物色しているとミッドガルやロケット村、ウータイのジオラマキットが置かれていた。
箱の大きさはミッドガルの方が大きく、ロケット村とウータイはそれの二分の一の大きさであった。
サイズを確認したらミッドガルは勿論のこと、ロケット村やウータイもそこそこの大きさだったので買わない事にした。
部屋のスペースを考えてもそんな物を置く場所などない。
もう少し小さい物はないかと棚を探すと、ある物が目に入った。

「ほう・・・」

思わず小さく声を漏らす。
ヴィンセントが目をつけたもの、それは屋台シリーズの模型だった。
サイズは小さめで様々なシリーズがあった。
焼き鳥屋台におでん屋台、中には現実には存在しないであろう架空の屋台まである。
小さくて中々可愛気があり、ヴィンセントの部屋を和ませてくれそうだ。
さて、どの屋台にしようか。

「屋台の模型を作るのか?」
「ああ。どの屋台にするか迷っている」
「なら・・・これなんかどうだ?」

悪戯っ子のようにニヤリと笑ってクラウドはある模型の箱をヴィンセントに渡す。
クラウドが渡して来たもの、それはアイスクリームの屋台だった。
アイスのはめ込み、ケースの組み立て、複数あるサンプルのコーンアイスとカップアイス。
中々に手応えがありそうである。

「ふむ・・・悪くないな」
「え?買うのか?」
「ああ」
「いや、冗談で見せたんだが・・・」
「中々面白そうだからこれに決めた」
「そ、そうか?」

多少自分の部屋の雰囲気には合わないかもしれないが、それよりも挑戦する気持ちの方が勝る。
それに気に入らなくなったら仕舞うなり壊すなりすればいい。
そんな訳でヴィンセントはアイスクリーム屋台とオマケでチョコボのミニフィギュアが付いた小さなボトルシップの模型と細かい道具を購入するのであった。
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