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□ネットカフェを体験してみたい
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翌日になってフードエリアで朝食セットを調達したヴィンセントは部屋でそれを食べて一服するとネットカフェを出て行った。
帰り際に昨夜接客してくれた青年がポイントカードの作成について聞き忘れていたと謝罪され、特にヴィンセントは気を悪くするでもなくポイントカードの作成を依頼した。
普段であればこういうののポイントカードはあまり作らないのだが、また利用する可能性が出てきたので作る事にしたのだ。


店を出て駅に向かったら流石に復旧していたらしく、電車は正常に動いていた。
ヴィンセントは自分の部署に電話をかけてフレックスで出勤する事を伝えるとのんびりと一旦自分の家に帰って新しい服に着替えた。
昨夜は漫画を読んでそのまま寝てしまった為、ランドリーは利用していなかったのである。
次に来た時には一応、着替えも持って行ってランドリーを使ってみようと思いながらヴィンセントは出勤するのであった。






「ええっ!?ヴィンセント、ネカフェ入ったの!?」

WROに出勤して昨日のネカフェについて話すとユフィに驚かれた。
正直自分でも利用する日が来るなんて夢にも思わなかったので驚かれるのは無理もない。

「ああ、初めて入った。以外にも綺麗な所なんだな」
「まぁ最近のネカフェはね〜。で、どうだった?感想をどーぞ!」

手をグーに握ってマイクとして差し出してくるユフィの手を軽くどけながらもヴィンセントは求めに応じる。

「悪くなかった。まるでホテルのようだった」
「一番感動したものはー?」
「ふむ・・・フードとドリンクのサービス、それからバスセットのサービスがあった事だな」
「ちなみに今回は泊まるだけで何もしなかったの?」
「いや、漫画を三冊ほど読んで来た。お前が最近読んでるGTO(グレートティーチャーオーツカエーキチ)だ」
「マジで?アレ読んできたの!?面白かったでしょ!!」
「ああ、中々読み応えがあった。今度また続きを読みに行きたいな」
「それだったらアタシが貸してやるよ!ていうかなんで昨日、電車止まってネカフェ行ったんだよ?言ってくれれば泊めたのに」
「昨日あんな事をした後に泊めてくれなんて言えると思うか?」

少し悪戯っぽく言ってみればユフィは昨夜の事を思い出したのか、一瞬にして顔を真っ赤にすると怒ったように慌てだした。

「ほほ、本当だよ!自業自得だよ!!あんな事しなければネカフェに泊まらないでアタシの所に泊まれたってのにさ!
 しかもアタシのラインに対してスタンプ送って煽るとか性格悪いし!!」
「やはり悔しかったか?」
「悔しくなんかないし!クールなユフィちゃんは全然なんとも思わなかったし!」

腕を組んで頬を膨らませてプイッと横を向いたユフィに隠れてマントの下で小さく笑う。
本当は悔しかった癖に。
今ムキになっているのが何よりの証拠だ。
本当にユフィは分かり易くて面白い。

「だが、良い経験になった」
「ネカフェ楽しかった?」
「ああ」
「そっかそっか。そりゃぁ何よりだね。どこのネカフェ使ったの?」
「『KUPO』というネットカフェだ」
「へ〜あそこか〜。今度アタシも使ってみようかな。
 ちなみにアタシとクラウドは『チョコっとカフェ』ってのをよく使ってるよ」
「そこは『KUPO』との違いはなんだ?」
「えーっとね、デザートが充実しててそれで―――」

しばらくの間、ユフィとネットカフェ談義をするヴィンセント。
その表情は本人でも気付かないくらい楽しげであったという。











END
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