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□昼間は篭っていたい
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「ん〜!かき氷美味しい〜!やっぱ夏と言えばかき氷だよね!」
「レモン味は初めて食べるがな」
「タークスやってた時はなかったの?」
「なかったな。イチゴとメロンとブルーハワイがあるだけだ」
「ふ〜ん。ヴィンセントは食べてたの?」
「いや。子供の時に食べて以来だな。母親に連れられて食べた記憶がある」
「お母さんと一緒にか。なんか想像したら可愛いかも」

想像してクスクスと笑うユフィに構わずヴィンセントはかき氷をもう一口食べる。
レモンの爽やかさが相変わらず心地良い。

「アタシもお母さんとオヤジと一緒によくかき氷食べてたなぁ。アタシがメロンでお母さんとオヤジがイチゴでさ。
 ちょっとだけちょーだい!って言ってよく分けてもらってたっけなぁ」
「容易に想像出来るな」
「うっさい」

互いに昔話をしていた所為か、かき氷はあっという間になくなってカップの中は空となった。
空のカップにスプーンを入れるとユフィはそれをサイドテーブルの上に置き、ヴィンセントに向き直る。

「ヴィンセント、ベロ出してみて?」

ユフィの意図している事を察してヴィンセントは素直に舌を出す。
黄色くなっているであろう舌をみてユフィは笑った。

「あはは!黄色くなってやんの!」
「お前も舌を出してみろ」
「んー」

出されたユフィの舌は見事に黄色に染まっていた。

「どう?」
「黄色だ」
「やっぱりね!でさ・・・このままキスしたらレモンの味がするかな?」

悪戯な笑みを浮かべて、キスはレモンの味がする、というのを実践したいのだろうか。
いつもであれば「何を馬鹿な事を・・・」なんて言って溜息を吐く所だが、今日のヴィンセントは少し違った。
なんとなく誘いに乗ってやろうという気分だった。
ラムネ酒を飲んだ所為で酔っているのかもしれない―――。

「試してみるか?」

そっと顎に指をかけて緩く上向かせる。
まさか誘いに乗るとは思っていなかったであろうユフィは驚きに目を見開いて顔を真っ赤にしながら慌てた。

「な、なななな何マジになってんだよ!?じょ、ジョーダンだってジョーダン!!」
「お前は冗談で男を誘うのか?」
「そ、そんな訳ないじゃん!アタシそこまで軽い女じゃないよ!!」
「では今の状況をどう説明する?」
「それは・・・その・・・」

困ったように視線を彷徨わせて答えを探すユフィは見ていて面白い。
もう少しからかってから解放してやろうか。
うん、そうしよう。
からかいを続行する事を決めたヴィンセントは親指をゆっくりとユフィの柔らかな唇に這わせてその形をなぞった。
慣れていないのか、唇をなぞられたユフィはビクビクと体を震わせて頬を淡く上気させた。
逃げようとする腰を捕まえ、ゆっくりと上から滑らかな背中を撫でつける。
潤んだ瞳は期待の色を孕んでおり、唇の隙間から覗く舌はとても美味しそうな色をしている。
まるで悪魔に魅入られたかのようにヴィンセントはその唇に、舌に自分のそれを近づけようとするが―――


ガシャーーーンン!!!


「わっ!何っ!?」

突然何かが強く地面に叩きつけられる音が別荘にまで響いた。
ヴィンセントは咄嗟にユフィを抱き寄せ、ユフィは窓の外を見た。
すると窓の向こう、別荘から少し離れた所では工事が行われており、どうやらそこで使われている資材が倒れるか落ちるかしたのだろう。
野太い男の怒号が僅かに聞こえてくるのがその証拠だ。

「びっくりしたね〜」
「・・・そうだな」
「そーいえばあそこにレジャー施設建てるっぽいよ」
「レジャー施設を?」
「そうそう。スライダーとか流れるプールとか作るらしくて―――」

「面白そうなんだよね」とユフィが言いかけた直後。



はらり・・・



ユフィの体からビキニがスルリと脱げ落ちた。
まだ未熟ながらも張りとそれなりの大きさのある果実がヴィンセントの眼前に晒される。
育てればきっと最高の果実になるだろう、なんて冷静に最低な考察をしてしまうがこれも男の性。
ついでに言うならそんな考えをしてしまう程にヴィンセントは驚いていた。

「・・・へ・・・へ・・・変態!!!!」

頭が真っ白になって止まっていたユフィは漸く動き出し、すぐさま片手で胸を隠してもう片方の手でビキニのブラを全力でヴィンセントに投げつけた。
そしてそのまま風の如き速さで風呂場の中へと駆け込んで行った。

「・・・・・・」

(抱き寄せた時に・・・指が引っかかってしまったのかもしれないな・・・)

ヴィンセントはまだ混乱しているのであった。











END
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