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□ホームセンターに行きたい
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メタルラックなど重い物をなんとか運んでヴィンセントのマンションに到着した二人はそのままの勢いでラックを組み立てた。
組み立ては単純で、尚且つ二人で作業をしたから思いの外早くラックは出来上がった。
しかし流石のユフィもくたくたで、パタリとヴィンセントのベッドの上に横になる。

「あ〜疲れた!ちょっと寝ていい?」
「ああ、手伝ってくれて感謝する。ありがとう」
「エヘヘ、いーってことよ!」

ユフィは照れたように笑った後、すぐに眠りに落ちた。
ホームセンターを歩き回った上に重い物を運んでメタルラックの組み立てまで手伝ってくれたのだ、無理もない。
ヴィンセントはブランケットをそっと引き抜くと静かにユフィの上に被せた。
その後はなるべく音を立てないようにしてメタルラックが入れられていたダンボールを畳んで片付けた。
そしてドサリとベッドの横に腰を落ち着けて一息つく。

(少しはマシな風景になったな)

軽く部屋を見回してポツリと心の中で呟く。
自分でも薄々生活感のなさを感じていたがメタルラックを導入した事によっていくらかマシになったように思う。
ここから少しずつラックに色んな物を置いて人らしくしていくつもりだ。

(しかし、人らしい第一歩がこの可愛らしいメモスタンドか)

卓袱台の上を飾るチョコボとモーグリのメモスタンドを一瞥してから後ろのユフィを見やる。
余程疲れているのか、ぐっすりと眠っていて起きそうにもない。
そんなユフィの頭を労りを込めてそっと、優しく撫でる。
艶々でサラサラと柔らかい黒髪は指通りがよく、つい何度も撫でてしまう。
ブランケットの上からでも分かる、体を丸めて眠る姿はまるで猫のようで益々頭を撫でる手が止まらなくなる。
その時にぼんやりと猫を飼いたいと思ったり思わなかったり。

「今度、ペットショップでも覗いてみるか」

「にゃ〜・・・」と寝言で答えたユフィが返事をしているようで音を立てずに笑った。











END
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