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□クリスマスにコーヒーを
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ファンタジアコーヒー前
セフィロスオーナー「お前にしては珍しく早く待っていたようだな」
エルオーネ「スマホの充電するの忘れて切れちゃったんです。オマケにチャージャーも充電切れしてて。だから最悪の場合があってもここならもしもでオーナーと連絡を取れると思って早く来たんです」
セフィロスオーナー「この現代社会で充電を忘れるとはとんだ間抜けだな。何も起こらなかった事に感謝をしろ」
エルオーネ「分かってますよ。何事もなくオーナーと会えた事にも感謝です」
セフィロスオーナー「余計な事を言ってないで入るぞ」
エルオーネ「はーい」
店内
エルオーネ「すごーい、喫茶店なのに広い個室でソファもふかふか!高級店なだけありますね〜。ここにはよく来るんですか?」
セフィロスオーナー「アンジールとジェネシスとたまに来るくらいだな」
エルオーネ「一人では?」
セフィロスオーナー「ないな」
エルオーネ「じゃあ、ここに来る時は特別な時なんですね」
セフィロスオーナー「バカな事を言う暇があるならメニューを決めろ」
エルオーネ「・・・あのー、値段が書いてないんですけど・・・」
セフィロスオーナー「今日は特別に私が奢る。好きな物を頼め」
エルオーネ「いいんですか!?ありがとうございます!じゃあこの『マシュマロを浮かべたホットチョコレート』と『ジュエルケーキ』で!」
セフィロスオーナー「適格に値段の高い物を選んだな」
エルオーネ「やっぱり高いんですか?じゃあやっぱり―――」
セフィロスオーナー「お前如きに遠慮されるほど落ちぶれてはいない」
チリンチリン(ベルを鳴らす)
ガチャ(紳士風な店員が入室してくる)
店員「お呼びでございましょうか」
セフィロスオーナー「マシュマロホットチョコレートとジュエルケーキ、それからブラックコーヒーだ」
店員「かしこまりました。すぐにご用意致します」
パタン(店員が退出する)
エルオーネ「こんな高級なお店に招待してくれた上に奢ってくれるなんてどういう風の吹き回しですか?」
セフィロスオーナー「お前に与えられてばかりでは格好がつかん。私にも体裁というものがある」
エルオーネ「フフ、それこそ気にしないでスルーすればいいのに」
セフィロスオーナー「お前に与えられた借りを返さないのが気持ち悪いだけだ」
エルオーネ「そういう事にしておきますよ」
店員「失礼致します。マシュマロホットチョコレートとジュエルケーキとブラックコーヒーでございます」
エルオーネ「わぁ!美味しそう!」
店員「ごゆっくりどうぞ」
エルオーネ「いただきます!・・・はぁ、蕩ける・・・!」
セフィロスオーナー「最高級のフルーツと素材を使用しているからな」
エルオーネ「なら蕩けてしまうのも仕方ないですね。マシュマロを浮かべたホットチョコレートも程よい甘さと温かさで癖になりそう・・・!」
セフィロスオーナー「そして太れ」
エルオーネ「聞こえませーん。この後、町内『クリスマスパーティー』に参加して美味しい物食べるけど聞こえませーん」
セフィロスオーナー「・・・あれに参加するのか?」
エルオーネ「え?そうですけど?」
セフィロスオーナー「・・・」
エルオーネ「オーナー?」
セフィロスオーナー「・・・ここの店は二時間の予約を取っている。時間まで満喫をしないのは損だぞ」
エルオーネ「あ、じゃあ二時間までここにいなきゃですね。そうなるとパーティーの出席はもっと遅くなるだろうから連絡を・・・あ、充電切れてるんだった」
セフィロスオーナー「特別に私のチャージャーを使わせてやろう」
エルオーネ「ありがとうございます。それから代わりって訳じゃないですけど、これ」
ガサッ(少し大きめの紙袋を差し出す)
セフィロスオーナー「コーヒーセットとクッキーの詰め合わせか」
エルオーネ「コーヒーは一番良い物で、クッキーはオーナーのお気に入りのメーカーのものです」
セフィロスオーナー「毎度毎度お前は無駄に気合を入れているな」
エルオーネ「そりゃそうですよ、オーナーの誕生日なんですから!改めてお誕生日おめでとうございます、オーナー」
セフィロスオーナー「・・・フン」
エルオーネ「コーヒーは試しに自分用を買って飲んでみたんですけど美味しかったのできっと大丈夫な筈です!」
セフィロスオーナー「私の味覚をお前と一緒にするな。口に合わなかったらどう責任を取るつもりだ」
エルオーネ「えぇっと・・・オーナーの好きなコーヒーを改めて買います!」
セフィロスオーナー「万越えするコーヒーでもか?」
エルオーネ「それは・・・厳しいですけど・・・がん、ばり・・・ます・・・」
セフィロスオーナー「ほう?」
エルオーネ「・・・」(←割と困り顔)
セフィロスオーナー「・・・」
エルオーネ「・・・」(←結構困り顔)
セフィロスオーナー「・・・」
エルオーネ「・・・」(←やっぱり降参しそう)
セフィロスオーナー「・・・いつものように私がコーヒーを淹れろと言ったら淹れろ。そしたら不味くても我慢してやろう」
エルオーネ「ありがとうございます!その時にお菓子も一緒に出しますね」
セフィロスオーナー「つまみ食いをして太らないようにするんだな」
エルオーネ「太らないように努力するとして、つまみ食いはやめられませんね〜」
セフィロスオーナー「やってみろ、お前とあの小娘が隠してる菓子を没収するからな」
エルオーネ「なっ、何の事ですか・・・?」
セフィロスオーナー「事務所の戸棚の一番上左奥に隠しているだろう」
エルオーネ「どうしてそれを!?」
セフィロスオーナー「お前らの考えている事など―――」
ピカッ!!(黒マテリアが発動して光を放つ)
エルオーネ「オーナー?」
セフィロスオーナー「発動しなければならない気がした」
エルオーネ「え、私の所為ですか?あ、あの、本当につまみ食いしないから怒らないで下さい、オーナー。なんだったら隠してるお菓子も分けますから!」
セフィロスオーナー「お前が原因ではない。どこぞのバカ共が禄でもない事を言った気がするだけだ」
エルオーネ「はぁ・・・ならいい?ですけど・・・」
セフィロスオーナー「それよりもいらない物がある。受け取れ」
スッ(二枚のチケットを渡す)
エルオーネ「これって・・・クリスタルホテルのビュッフェの招待券?一枚につき二人までのご招待・・・」
セフィロスオーナー「取引先に貰った。あの小娘と行って来い」
エルオーネ「何言ってるんですか、オーナーも一緒に行きましょうよ!私もシンクも目一杯オシャレしてくるので!」
セフィロスオーナー「馬子にも衣裳という諺を知っているか?」
エルオーネ「失礼な!馬子にも衣裳だなんてセリフが飛び出ないくらいとびっきりのオシャレをしてくるので覚悟してて下さい!」
セフィロスオーナー「精々無駄に頑張るのだな」
エルオーネ「オーナーこそちゃんと私達と釣り合う恰好で来て下さいよ?」
セフィロスオーナー「逆にどう頑張ったらお前らより見劣るコーディネートになるか聞きたいくらいだな」
エルオーネ「それは例えば・・・ふふっ」
ビシッ(エルオーネにデコピンする)
エルオーネ「いたっ!」
セフィロスオーナー「今頭の中で私におかしな恰好をさせただろう」
エルオーネ「そんな事ないですよ」
セフィロスオーナー「目を逸らすな」
エルオーネ「いひゃいいひゃい!すいまひぇんれしら!」(←頬をつねられてる)
セフィロスオーナー「フン。そろそろ帰るぞ」
エルオーネ「あれ、もうそんな時間ですか?じゃあこれから参加するってキスティスたちに・・・あ」
セフィロスオーナー「どうした」
エルオーネ「クリスマス会、急遽中止になったみたいです」
セフィロスオーナー「・・・予想が当たったな」
エルオーネ「え?」
セフィロスオーナー「お前には関係のない話だ。それより私は商店街を通ってから帰る」
エルオーネ「私も一緒に行っていいですか?時間が出来ちゃったので」
セフィロスオーナー「好きにしろ」
エルオーネ「ありがとうございます」
END