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□さかさま
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「はいシンク、これ」
「わーい、エルオーネからの一行便箋だ〜。開けてもいい?」
「うん、いいよ」
ペラッ
『これからもずっと友達だよ。大好き!』
「えへへー、エルオーネから愛の告白されちゃった〜。じゃあ私からもあげるね〜」
「開けていい?」
「うん、いいよ〜」
ペラッ
『と〜っても大好き!また美味しい物食べに行こうね』
「ふふ、私もシンクから愛の告白されちゃった」
「エルオーネは他に誰に書いたのー?」
「えっと、ラグナおじさんにレイン、キロスさんにウォードさん、スコールにリノアちゃんに他にも色々。
あ、トレイにも書いたから後で渡してくれる?」
「お任せ!セフィロスオーナーは?」
「勿論書いたよ」
「さっすが〜。もう渡したの?」
「うん。そしたらね、オーナーからも一行便箋貰ったの」
「へ〜!あのオーナーが」
「そうなの!いつもは私からの一方通行だったのに今年は珍しくくれたの!」
「もしかして初めて?」
「うん、初めて」
「明日槍でも・・・ううん、メテオが十回落ちてくるんじゃない?」
「全方位から星が囲まれてもおかしくないよね・・・」
「手紙はもう読んだの?」
「ううん、これから」
ピラッ(セフィロスオーナーからの手紙を広げる)
「ん〜・・・?」
「さかさま・・・だよね、これ?便箋の柄の一部である文字の向きが本来なら上向きになる筈なのに下向きにして書いてる」
「もしかして間違えたとか?」
「まさか。オーナーに限ってそれはないと思う。それよりもこの『良くもなければ悪くもない』って・・・」
「オーナーらしいね〜」
「ふふ、そうね。わざわざ便箋をさかさまにして書く所が捻くれてるというか」
「でも何でさかさまにしたんだろう?こんなまどろっこしい事しなくてもセフィロスオーナーってドストレートに意地悪な事書くじゃん?」
「それもそうね」
「エルオーネ、封筒貸して?」
「うん」
「・・・あ、見てエルオーネ。封印用のシールも綺麗にさかさまだよ!」
「本当だ!まるで狙ったかのように寸分の狂いもなく綺麗にさかさま!」
「これってもしかして手紙のこの文章にも意味があるんじゃないかな?」
「というと?」
「さかさまに読むとか?でも『いなもくるわばれけなもくよ』とか意味不明〜」
「あ!もしかして言葉の意味としてさかさまって事じゃない?反対語って事で!」
「なるほど〜!となると?」
「『良くもなければ悪くもない』だから『悪くもなければ良くもない』!」
「・・・」
「・・・」
「・・・あんま変わんないね」
「・・・うん」
「あ、でも『良い』と『悪い』の部分だけを反対の意味にするんじゃなくてどっちも最後の『ない』の部分を反対にしたら―――」
「意味の分からない文脈になると思うからそれはないかな」
「じゃあ最初の『悪くもなければ良くもない』がファイナルアンサー?」
「ファイナルアンサー」
「・・・正解だけど残念!」
「あ〜!!なんてね。それにポジティブに考えれば『まぁまぁ』って事なんだし嫌われるよりはいいかな」
「付き合いが長い故のポジティブだね〜。私だったら心が折れてるかも」
「シンクもオーナーと長い付き合いになればそうじゃなくなるかもよ?」
「オーナーと長い付き合いは勘弁かな〜」
「でもオーナーはああ見えて・・・ん?」
「どしたの〜?」
「何となく手紙の裏に何か書いてないかなって思って見てみたら、ほら」
「ん〜?・・・・・・めっっっちゃ小さい文字で何か書かれてるね〜」
「虫眼鏡か顕微鏡じゃないと読めないね・・・」
「あ、私都合良く虫眼鏡持ってるよ〜」
「流石シンク!早速それを使って読んでみよう!」
・・・・・・
・・・・・・
「『悪くない』の一文字だけだね〜」
「でも見てシンク。手紙を本来の上向きにして書いてるよ!」
「ということは・・・そのまんまの意味?」
「『悪くない』・・・か。ふふっ、オーナーったら・・・!」
「エルオーネ嬉しそう・・・・・・ほっぺもちょっとだけ赤いし」
「うん?なーに?」
「ううん、なんでもな〜い。良かったね、エルオーネ」
「うん!」
END