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□赤ずきんちゃん
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昔々、とある所にエルオーネという女性がいました。
エルオーネは優しい女性で色んな人に親しまれていました。
そんなある日の事、エルオーネは母親のレインに、森に住んでいるお婆さんの所へパンとワインと届けに行くようにと頼まれました。

レイン「最近森では怖い狼が出るらしいから見つけたらすぐに逃げるのよ」
エルオーネ「はーい。じゃあ行ってきまーす」
レイン「気を付けてね」

レインに見送られ、エルオーネは外出用の赤ずきんを被ると森の奥へ歩いて行きました。
しかし森を歩いている途中、エルオーネは綺麗なお花畑を見つけます。

エルオーネ「あ、綺麗!少しだけ摘んでこっかな」

本当はレインにあまり寄り道するなと言いつけられているエルオーネ。
しかし父親のラグナの影響で彼女はがんがん寄り道をしていきます。
むしろしないという選択肢はないくらいです。
エルオーネは傍に籠を置くと花を摘み始めます。
そこに―――

???「がおー!」

エルオーネ「きゃっ!?」

???「あはは〜驚いた〜?」

エルオーネ「わっ!狼!?」

後ろから驚かされて振り向くと、そこには甘栗色の毛並みの狼の少女が立っていました。
『怖い』とは正反対の『愛嬌』がある狼です。

エルオーネ「わ、私なんか食べても美味しくないよ!?」

???「食べないよ〜。人間食べる趣味なんてないし〜」

エルオーネ「え?趣味?狼って人間食べるんじゃないの?」

???「それは本格的な狼で半獣タイプは違うよ〜」

エルオーネ「あ、そうなんだ・・・貴女、名前は?」

???「シンクちゃんだよ〜。そっちは?」

エルオーネ「エルオーネよ。宜しくね」

シンク「うん、宜しく〜」

シンクはニコニコと笑顔を浮かべて名乗るとエルオーネの向かい側に座りました。
襲ってくる気配もないし、そんな事をするようにも見えないのでエルオーネはすぐに心を許しました。
そして居住まいを正してシンクと向き合い、お喋りをします。

エルオーネ「ここってシンクの縄張りなの?」
シンク「うーうん。私はこの辺で散歩してただけだよ。エルオーネは何してたの?」
エルオーネ「おばあちゃんにパンとワインを届けに行く所なの。で、ちょっとだけ寄り道」
シンク「へ〜、パンとワインをか〜」

エルオーネが見せてくれた籠の中のパンを見た途端、シンクのお腹が「ぐぅ〜」と、可愛らしく鳴りました。

シンク「あ・・・えへへ〜」
エルオーネ「フフフ、お腹空いちゃった?」
シンク「うん、空いちゃった〜」
エルオーネ「じゃあ半分だけあげる」
シンク「え?いいの?おばあちゃんに届けるパンでしょ?」
エルオーネ「私が途中でつまみ食いしちゃったって言うから平気よ。おばあちゃん優しいし」
シンク「ありがとうエルオーネ〜!」

エルオーネの優しさに感動したシンクはエルオーネに強く抱きつきます。
そして半分にちぎられたパンを受け取ってモグモグと食べ始めるのでした。
その姿は狼というよりはリスのようでとても可愛らしいです。

エルオーネ「ところでシンクはこの辺で怖い狼が出るっていう噂知ってる?」
シンク「知ってるよ〜。多分それ、銀の狼さんだよ〜」
エルオーネ「銀の狼さん?」
シンク「うん。私と同じ半獣で銀色の毛並みをしてるこわ〜い狼さんでセフィロスって言うんだよ〜」
エルオーネ「それって見つかったら殺されちゃうパターン?」
シンク「う〜ん、そこまでじゃないかな〜。でもあんまり関わらない方がいいかも。怖いしめんどくさいから」
エルオーネ「ふ〜ん。分かったわ、気を付けるね」
シンク「おばあちゃんの家まで送っていこうか?」
エルオーネ「大丈夫よ、ありがとう。シンクも気を付けてね」
シンク「うん、バイバ〜イ」

エルオーネはシンクと別れると元の道に戻ってお婆さんの家を再び目指します。
今度は寄り道をしなかったのであっという間に到着しました。

エルオーネ「こんにちはー!パンとワインを届けに―――」

セフィロス「・・・」

エルオーネ「・・・」

お婆さんの家の扉を開けるとそこにお婆さんの姿はなく、代わりに銀色の毛並みをした狼―――セフィロスがベッドの縁に座っていました。
その光景にエルオーネはしばし固まってしまいます。

エルオーネ「・・・」

セフィロス「・・・」

エルオーネ「・・・」

セフィロス「・・・」

エルオーネ「すいません家間違えました!」

セフィロス「逃がさん」

即座に逃げようとしたエルオーネでしたが、それよりも早くセフィロスに手首を掴まれて強制的に隣に座らされました。
当然、エルオーネは抵抗します。

エルオーネ「い、いや!待って食べないで!私なんか食べても美味しくないから!」
セフィロス「見れば分かる」
エルオーネ「えー?そんな即答しなくても・・・ところでおばあちゃんは?
      ここ、おばあちゃんの家よね?貴方何してるの?」
セフィロス「借金の回収だ」
エルオーネ「借金!?おばあちゃんに!?」
セフィロス「お前は親類か?」
エルオーネ「ええ、まぁ。あんまり会わないけど私はおばあちゃんの孫よ」
セフィロス「あの老婆は酔った勢いで金を借りてきて賭博に興じた。だが大負けして金が返せなくなり夜逃げした」
エルオーネ「おばあちゃんぇ・・・」
セフィロス「それでどうするか考えていた所だ」
エルオーネ「そっか・・・頑張ってね」

エルオーネは何事もなかったかのように立ち上がって出て行こうとします。
が、しっかり手首を掴まれてまた隣に座らされます。
世の中は上手く行かないものです。

エルオーネ「ダメだったか・・・」
セフィロス「親類のお前が金を返せ」
エルオーネ「でも連帯保証人じゃないでしょ?」
セフィロス「私が決めた」
エルオーネ「えー?そんなの横暴よ!弁護士呼んで!」
セフィロス「お前が老婆を連れてくればそんな必要もなくなる」
エルオーネ「そんな事言われてもおばあちゃんの行く所なんて知らないし・・・」
セフィロス「・・・」
エルオーネ「・・・ねぇ、私このままどうなっちゃうの?」
セフィロス「さっきも言った通り、お前に返済をしてもらうつもりだ」
エルオーネ「そんな、借金の肩代わりだなんて・・・私、ここで売られちゃうのね・・・」
セフィロス「それも考えたがお前を売った所で1ギルにもならんどころか在庫になって苦情が殺到するからその選択はない」
エルオーネ「失礼な!せめて1ギルくらいはしますよ!多分!」
セフィロス「好きものがいればな」
エルオーネ「きっと一人や二人・・・いても別に嬉しくはないけど」
セフィロス「とりあえずは私の身の回りの世話をしろ。家政婦として一か月働け」
エルオーネ「無報酬で?」
セフィロス「無報酬でだ」
エルオーネ「せめて交通費とお昼のまかないだけでも・・・!」
セフィロス「チッ、ならば二か月働け」
エルオーネ「はーい」

そんな訳でエルオーネはセフィロスの元で二か月間、家政婦として働く事になるのでした。



それから三か月後・・・



シンク「セフィロスに物をお届けするなんてとんだ貧乏くじだね〜」
トレイ「ええ、さっさと届けて家に―――おや?」

エルオーネ「あ、シンク!」

シンク「エルオーネだ〜!元気にしてた〜?」
エルオーネ「うん!シンクの方も元気だった?」
シンク「勿論だよ〜」
エルオーネ「そっちの男の子は?彼氏?」
シンク「えへへ、そんなとこかな〜。エルオーネはここで何してるの?」
エルオーネ「家政婦だよ」
シンク「え?家政婦って・・・セフィロスの?」
エルオーネ「そうだよ。おばあちゃんが夜逃げしちゃってその借金返済の為にここで家政婦やってるの」
トレイ「夜逃げって・・・大丈夫なんですか?何か酷い事はされていませんか?」
エルオーネ「ううん、大丈夫だよ。むしろ交渉して交通費とお昼のまかないつけてもらったから」
トレイ「あのセフィロス相手に一体どんな交渉を・・・」
エルオーネ「最初は二か月だけだったんだけど、何だかんだで今も置いてもらってるの。給料付きで」
トレイ「ええっ!?」
シンク「お給料付けてもらえて良かったね〜」
トレイ「そこ喜ぶ所じゃないですよね!?」
エルオーネ「それより二人はこんな所に来てどうしたの?」
シンク「セフィロスにお届け物があるんだ〜。悪いけどエルオーネ、渡しておいてくれない?」
エルオーネ「うん、いいよ」

トレイ「・・・大丈夫、ですかね?」
シンク「楽しそうだしきっと大丈夫だよ〜」

その後も二人はエルオーネを見守り、エルオーネもセフィロスの家政婦として働くのでした。











クラウド「赤ずきんちゃん要素どこいった」





END
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