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□桃太郎
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むかしむかし、ある所にセフィロスとエルオーネという若い男女が暮らしていました。
セフィロスは山へモンスターをしばきに、エルオーネは川で洗濯をしていました。
ある時、川の上流から桃がどんぶらこ〜どんぶらこ〜と流れてきました。

「あ、桃!でもそんな季節じゃないし・・・無視しておこう」

スルーを決め込もうとするエルオーネでしたが、桃がどんぶらこどんぶらこと迫ってくるのでした。

「異様に迫ってくる・・・!仕方ない、持って帰ろっと」

しゃーないのでエルオーネは桃を持って帰る事にしました。

「ただいまー。大きな桃を拾ってきたんだけど―――」
「捨ててこい」
「早っ!そんな速攻で捨てて来いなんて言わなくても・・・」
「怪しい物を拾って来るな」
「でも桃が迫ってきたんだもの。持って帰らないと話が進まないぞと言わんばかりに」
「全く・・・そこに置け」
「どうするんですか?」
「斬る」

エルオーネが大きな桃を床に置くとセフィロスは愛刀・正宗を使って桃を真っ二つにしました。
すると・・・

「あっ!赤ん坊!」

本来であれば種が収まっている窪みに赤ちゃんが懸命に張り付いていました。
それこそセフィロスの斬撃から逃れるかのように。

「チッ、外したか」

今のは気かなかった事にします。

「よしよし、おいで。酷い事なんてしなから」
「・・・」

優しい笑顔で手を伸ばしてくるエルオーネにやや警戒しつつも赤ちゃんは、はいはいをして近付きます。
エルオーネはそんな赤ちゃんの警戒を解きほぐすかのよう優しく抱き上げるとあやしました。

「名前を付けなくちゃね。桃から生まれたからスコールにしようかな」
「あまりにも桃との繋がりがないぞ」
「だって桃太郎なんて名前つけたら三軒隣の夫婦の所の桃太郎君と被っちゃうじゃないですか。
 学校で桃太郎1号2号なんて呼ばれちゃいますよ?」
「知るか」

ちなみに三軒隣の夫婦は流れてきた桃を食べて若返って夜に―――

「・・・」

セフィロス様に喉を刺される一歩手前なのでこの先はやめておきます。

「夜に何があったんですか?」
「日課の仏への祈りを捧げていたそうだ」
「へ〜」

簡単に納得するエルオーネに赤ちゃんのスコールはそれでいいのか、と言いたげな目線を向けましたが、まぁ内容が内容だしいいか、と思うのでした。



それからスコールは主にエルオーネに大切に育てられてすくすくと育っていきました。
セフィロスはあまり育児に関わらなかった分、戦闘についてのノウハウを叩きこんで最強の兵士に育て上げました。
そのお陰もあってスコールは17歳という若さでセフィロスと共に各地のモンスター退治の任務を請け負っていました。
そんなある日のこと。

「スコール、任務の依頼書が届いてたよ」
「ああ、ありがとう、姉さん」
「今度は鬼ヶ島の鬼女たちからの依頼ね」
「は・・・?鬼ヶ島?鬼女からの依頼?」
「そうよ。鬼ヶ島を守ってって」
「退治じゃなくてか?」
「ううん、守ってだって」

「はい」と言ってエルオーネが渡して来た依頼書を読むと、確かに『防衛依頼』と依頼書に書かれていいました。

「・・・」
「鬼は全部悪い奴らなんて決まってる訳じゃないんだから行ってきてあげなさい、スコール」
「・・・ああ、分かってる」

なんだか複雑な気持ちになりつつもスコールは鬼ヶ島防衛任務を請け負うのでした。
そして当日、エルオーネとセフィロスの二人が鬼ヶ島に向かうスコールを見送ります。

「気を付けてね、スコール。おにぎり作ったから道中で食べてね」
「ありがとう、姉さん」

可愛らしい布で包まれた弁当箱をスコールは受け取ります。
姉の優しい気遣いにスコールの頬は緩むのでした。

「尻尾を撒いて逃げてきたら切り捨てる」

(最後までブレないな・・・)

通常運転とも言える態度のセフィロスに内心ツッコミを入れながらスコールは旅立つのでした。




鬼ヶ島までの長い道のりを歩いていた時の事。
スコールはバイクに乗ったチョコボ頭の男と遭遇しました。

「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」

お互いコミュニケーションが苦手な為か、一向に会話が始まりません。
しかし目が合った以上は立ち去る事も無視する事も出来ず、お互いに立ち止まったままです。
するとそこにランニングをしていた犬が通りかかりました。

「あれ?クラウド何してンスか?」
「ティーダか。いや、まぁ・・・大した事じゃない」

(大した事じゃないならこんな所で二人して立ち止まってないだろ)

「まぁまぁ、そんな毒づいてないでお互い自己紹介するッスよ」

(俺の心を読むな)

「俺はクラウド。運送屋をやってる」
「主に運ぶのは白い粉だよな!」
「運ばねーよ!犯罪ごとには関わってねーから!!このふざけた事を言う奴がティーダだ」
「うッス!ブリッツでエースやってるッス!」
「聞いた事があるな、エースのティーダ・・・俺はスコールだ」
「あ、聞いた事あるッスよ。桃を食べたお姉さんが妊娠してそこから生まれた傭兵とかなんとか」
「色々混ざりすぎだろ!!正しくは女の人が拾ってきた桃の中から生まれて戦士として育てられた傭兵だろ!!」
「似たようなもんじゃないッスか〜」
「全然似てねーよ!むしろ壮大な勘違いが起きる所だったわ!!」

(騒がしい奴らだな)

「おーい!なーに騒いでんだー?」

漫才のようなやり取りをしている三人の所に盗賊の猿が木の上から降りてきました。

「アンタは?」
「俺か?俺はジタン!この辺ではちょっと名の知れた盗賊だぜ!」
「ジタン・・・そういえば聞いた事があるな」
「そういうお前は誰だ?」
「俺はスコールだ」
「スコール・・・あぁアレか!ピ〇チ姫とマリ〇が結ばれた末に生まれた―――」
「最早作品ちげーだろ!!」

クラウドの強烈なツッコミと説明により、ジタンもスコールについて正しい知識を身に着けるのでした。

「は〜なるほどな〜。で?スコールは何をしようとしてんだ?」
「鬼ヶ島に防衛依頼をされて向かっている所だ」
「防衛依頼?鬼ヶ島がッスか?」
「そうだ」
「行くのか?」
「依頼された以上はな。だが内容によっては断るつもりだ。悪事の片棒は担がされたくないからな」
「そーいう事なら俺たちも手を貸すぜ!」
「いいのか?」
「気にすんなって!な!ティーダ、クラウド!」
「勿論ッス!」
「丁度配達の用事もないし、いいだろう」
「悪いな。報酬としておにぎりを分けよう」
「やりぃ!」
「サンキュースコール!」
「いただこう」

そんな訳で四人でエルオーネの作ったおにぎりを分け合うのでした。
ここからはセリフが誰が誰だか分からなくなるのでセリフの前に名前が付きます。

ティーダ「最初っからそれで良かったんじゃないッスかね?」
ジタン「忘れてたんだよ。でも今更修正するのも面倒なんだよ」
クラウド「こrrrrrrrrら!裏話すんな!!」
ティーダ「それよりここから港まで結構時間かかるッスよ?」
スコール「・・・」

スコールはクラウドのバイクをチラリと見ました。

クラウド「・・・言っとくが四人乗りなんて出来ないからな」
ジタン「側車付ければ問題なし!」
クラウド「今ここに側車ねーだろ!」
ティーダ「ここにあるッスよ!」
クラウド「何で都合良くあるんだよ!?」
ジタン「ドッキング―!」
クラウド「勝手にすんな!」

こうしてクラウドのバイクに側車がドッキングされるのでありました。

クラウド「これで壊れたらお前たちの所為だからな・・・」
ジタン「大丈夫だって!」
ティーダ「そーそー!それよか早く鬼ヶ島に行こうぜ!」
スコール「運転は任せたぞ」
クラウド「なんでこんな事に・・・」

クラウドは溜息を吐きながらもバイクを走らせるのでした。





しばらくの走行の後、四人は鬼ヶ島に到着するのでした。
そして現在は玄関の前に立っています。

クラウド「木造玄関かと思ったらすげー現代の玄関なんだけど」
ティーダ「インターホン付いてるッスよ!」
ジタン「押してみるか」

ピンポーン♪

???『はーい!どちら様ですか?』

ティーダ「すいませーん!ザナルカンド新聞の者なンスけどー!」
クラウド「新聞の勧誘してんじゃねーよ!」

???『新聞なら間に合ってまーす』

スコール「待ってくれ。依頼書を受け取ったスコールだ。責任者に会わせてくれ」

???『スコール?あの傭兵の?』

スコール「そうだ」

するとインターホンが切れて中からバタバタと忙しない音がしたと同時に一人の少女が扉を開けて姿を現しました。

???「良かった〜!来てくれたんだ!」
スコール「アンタが責任者か?」
???「うーん、まぁそんな所かな。申し込みをしたのは私。リノアよ、宜しくね」
スコール「ああ」
リノア「そっちの人たちは?」
ジタン「奴隷です」
リノア「ええっ!?」
クラウド「質の悪いおふざけをすんなっ!」
スコール「ここに来る途中で合った運び屋と盗賊とエースだ」
リノア「えっ・・・」
クラウド「誤解が生まれる言い方すんな!!」

その後、クラウドの必死の説明により、クラウドたち三人は怪しい者ではないと理解してもらうのでした。
スコールたちを中に通したリノアは自分の仲間を紹介しました。

リノア「紹介するね。ティファとガーネットとユウナ。この島で一緒に暮らしてる仲間だよ」

ティファ「宜しく」

クラウド(〇■▲※!?)(←どストライク過ぎて言葉にならない)

ガーネット「宜しくお願いします」

ジタン(う、美しい・・・!俺が守らないと!)

ユウナ「宜しくね」

ティーダ(絶対に守るッス!)

男たちは瞬く間に恋に落とされるのでした。
そして同時に『こんだけ美女揃いならそりゃ襲われるわな』と思うのでした。

リノア「最近色んな人たちが島を襲ってきて困ってるんだ・・・お願い、力を貸して!」
スコール「ああ。俺から離れるなよ」
リノア「うん!」

その後、スコールたちは鬼神の如き強さとリア充っぷりを見せつけて島にやってくる者どもを追い払っていきました。
こうして鬼ヶ島に近付く者はいなくなるのでした。
めでたしめでたし。






クラウド「桃太郎要素は!!?」









END
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