オリジナル倉庫

□膝枕
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ヴィンセントには不思議で堪らない事がある。
別に全然構わないのだが、それでも気になる事がある。

「・・・ユフィ」
「ん〜?」
「お前は何故、私の膝に転がってくる?」
「寝心地いいから」
「・・・そうか」

ここはエッジのヴィンセントが借りているアパートの一室。
オメガ災害の当事者であるヴィンセントは元々真面目な性格もあって後処理を手伝っていたらなんやかんや知らない内にWROに加入させられていた。
ふざけるなとリーブに抗議したものの、口で彼に勝てる筈もなく。
クラウドやティファを始め、仲間達にも説き伏せられてしまっては成す術もなく。
そして何より、今となっては恋人ともなっているユフィが当時先輩風を吹かせながらもとても嬉しそうに歓迎してきたのでヴィンセントにはもう逃げ道などなかった。
リーブは相変わらず人使いが荒いがその分だけ休みに融通は利いてくれるのでこうしてユフィと一緒に休みを取ってのんびりする事が出来るのでそれを差し引けば悪くないと言えば悪くない。
しかしそのユフィと暮らし始めて沸き起こった最大の疑問が、ヴィンセントがソファに座る度に猫宜しくユフィが膝の上に頭を乗せて来る事だった。
ヴィンセントとしては別に問題はないので一向に構わないのだが、なんだって男の自分なんかの膝の上に転がってくるのだろうと疑問でならなかった。
もしかして自分が邪魔だから仕方なく枕代わりにしているのかと思い、試しにラグの上に座ったらソファには寝転がずに自分の膝の上に転がって来たのである。
これはもう狙ってやっているのだろうと理解したものの、その理由が分からないでいた。
そしてその理由を今聞いてみてもやっぱり分からなかった。

「立つんだったらいつでも言っていいからね。ちゃんとどくから」
「ああ」

スマホから目を離さないままそう告げるユフィにとりあえず相槌を返す。
ちなみにどいてもらう場合、ユフィは起き上がって座ってスマホをいじる。
そしてヴィンセントが戻ってきて座ると再び頭を乗せて来る。
気を遣ってワザとラグに座ったら移動してわざわざ頭を乗せてきたりもする。
そんなに自分なんかの膝がいいのだろうか。

「ん?何?」

視線に気付いたユフィがスマホから目を離してヴィンセントの方を向く。
たまには思った事を素直に言ってみてもいいだろうと、オメガ災害以来すっかり心の軽くなったヴィンセントは自分の思うままを口にしてみる事にした。

「私の膝が良いらしい事は分かった。だが―――」
「だが?」
「私ばかり膝を貸していては不公平だ。今すぐにとは言わんがいつかお前の膝を貸して欲しい」

すると滑らかな頬にパッと朱が差した。
けれどユフィはにいっと挑戦的な笑みを浮かべて口を開く。

「別にいーけどユフィちゃんの膝枕は安くないぞ〜?一回に付きマテリア一個だから」
「ぼったくりだな」
「そんな事ないも〜ん!適正価格です〜!」
「そっちがその気ならばこちらもそれ相応の要求をさせてもらうが」
「可愛いユフィちゃんからのとっても貴重な愛を惜しみなくあげてるでしょーが」
「私もお前に同じだけの愛を返していると思うが?」
「それはそれ、これはこれ」
「相変わらず無茶苦茶な上に都合が良い。だが、お前がその態度を貫くならこちらにも考えがある」
「考えって何だよ?」

首を傾げるユフィに小さく笑みを溢して上体をユフィの足の方へ倒す。
少しだけ位置を調整してユフィの太腿の前に倒れ込むと躊躇いなくその少し日焼けした張りのある太腿に吸い付いた。

「にゃっ!?こ、こら!!」

何をされたのか一瞬にして理解したユフィはヴィンセントを引き離そうとするが足をしっかりと掴まれている為にそれが叶わない。
そうこうしている間にもヴィンセントの唇はどんどん赤い痕を残しながら内腿へと進行していく。
ぴちゃり、と舐められて背筋が震えた。

「や、やだ!ヴィンセント!」
「あくまでもお前が膝枕代を徴収する姿勢を貫くのであればこちらも荒事は辞さない」
「分かった分かった!徴収しないからこれ以上は・・・んっ!」
「聞こえんな」

意地悪く笑って内腿にいくつもの痕を残していく。
片方の足を満たしたら今度はもう片方の足だ。
ヴィンセントは狙いを変えるとそちらに移って同じように痕を残していく。
肌に真っ赤な鬱血痕が浮かぶのが楽しくて癖になってくる。
折角の休みなのだし、とヴィンセントは簡単に理性のタガを外して思うままにユフィを喰らい始めた。

「待ってヴィンセント・・・待って・・・お願い、だから・・・!」
「・・・いいだろう・・・ベッドに到着するまでの間はな」
「執行猶予が短いっての〜!」

泣き叫ぶユフィを無視して軽々と抱き上げ、ヴィンセントはさっさと寝室に足を運ぶのであった。








END



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