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□ある夏のバカンス
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夏休みにふしぎ星に帰省したファインとレインはブライトとアルテッサ、シェイドとミルキーを誘ってコーラルビーチにバカンスにやって来ていた。
アルテッサはアウラーに会いに行くと言ってかざぐるまのお城に赴いており、今はいない。
ならば五人で海で泳ごう、という事になったのだが、テニスコートを見つけたファインがテニスをしたいと提案した為に午前中はテニスをする事になった。
最初はファイン&レイン、シェイド&ブライトのペアで勝負をし、それから何回かペアを入れ替えて遊んでいたのだが途中でレインが疲れたという事でミルキーのいるベンチで休憩を取り、テニスの試合はファインとシェイドのシングルスとなった。
ちなみに審判はブライトだ。
運動神経抜群でテニス部の助っ人にも顔を出してるファインはとても強かったが、シェイドも負けていなかった。
むしろ上手い具合に試合をリードしていた。

「ゲームセット!勝者、シェイド!」
「フッ、まだまだだね」

爽やかな汗を流しながら笑みを浮かべるシェイドにミルキーがはしゃいだ声を上げる。
隣に座るレインはファインに「お疲れ様、ファイン」と労いの言葉をかける。
いつものファインならば労ってくれるレインに「ありがとう!」と元気に返し、笑顔で対戦相手の元に駆け寄って握手なり称賛の言葉を贈り合ったりするのだが、今日に限っては呆然としつつ不思議そうな表情でシェイドを見つめていた。

「・・・シェイドってさ、テニスになると異様に強いよね」
「そうか?」
「うん・・・レインもそう思うよね?」
「そうねぇ・・・しかも勝つと『まだまだだね』って必ず言うわ」
「キミ、陰で『テニスのプリンス様』って呼ばれてるの知ってる?」
「知ってるが危険な臭いがして敢えて触れてない」

真夏の午前の不思議な疑問だった。











不思議な疑問と共に汗を流してお昼ご飯を食べた後はお待ちかね海で遊泳タイム。
準備体操を終えたファインは両手をぐっと伸ばすと「泳ぐぞ〜!」と元気よく声を出した。
それからレインに海に飛び込もうと声をかけようとして振り返るが、レインが顔を赤くしてもじもじしているのに気付く。

「レイン?」
「あ・・・あぁぁああのぶぶぶブライト様・・・!」

ファインの心配する声が耳に入っていないのか、レインは顔を真っ赤にしながらブライトに声をかける。

「何だい?レイン」
「えぇぇとその・・・おおおおおおよぎの・・・れ、れん、しゅうを・・・!」
「?」

(はは〜ん)

緊張で言葉が上手く紡げないレインにブライトが首を傾げている傍でファインはレインが何を言おうとしているのかを察する。
他人の恋愛、殊更レインの恋愛事情となるとファインの頭の回転は速かった。

「ねぇブライト、レインに泳ぎの練習をお願いしていい?」
「泳ぎの?」
「そう!アタシはシェイドとミルキーと一緒に遊ぶからレインの泳ぎの練習を見てあげられないんだ。だからお願いしていいかな?」
「勿論だよ。レインも僕が先生でいいかな?」
「はい!!是非お願いします!!」

(ありがとう、ファイン!)
(どういたしまして!)

目で会話をしてファインとレインはそのまま別れた。
そうして自分達の所にやってきたファインにシェイドは不敵な笑みを浮かべる。

「一つ貸しだからな」
「えへへ、ありがとう。でもアタシに気にしないで二人で遊んでていいよ?兄妹水入らずで久しぶりに遊ぶんだしさ」
「バブバブブバブバブ〜!」
「だそうだ。ミルキーはお前とも遊ぶのは久しぶりなんだからとことん付き合ってもらうぞ」
「は〜い!じゃあ何して遊ぶ?砂のお城?それとも泳ぐ?」
「バブッ!」

ミルキーはどこからともなくアヒルの水鉄砲を取り出した!

「あ!水鉄砲!じゃあアタシはこれ!!」

ファインはどこからともなくノズルが三つ付いた水鉄砲を取り出した!

「アタシとミルキーでチーム組むからシェイド頑張ってね〜!」
「バブ〜!」
「俺の意見を無視して勝手に組むな、全く・・・」

シェイドはどこからともなくガトリング式の水鉄砲を取り出した!

「ええっ!?ガトリング式なんてアリ〜!?」

とんでもない秘密兵器を披露されて目を白黒させるファイン。
その横でミルキーは戦況を見極めるが如くファインとシェイドの顔を交互に見やる。
そして彼女は―――浮き輪に掴まりながら足をバタつかせると驚く程潔くシェイドの隣に移動してファインにアヒルの水鉄砲を向けるのだった。

「バブ!」
「あ〜!ミルキーが寝返った〜!!?」
「よし、ミルキー。お兄様と一緒にファインを倒すぞ」
「バブ〜!」
「イヤイヤイヤ〜ン!」

夏のコーラルビーチに賑やかな声が響き渡るのであった。







END
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