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□夏の楽しみ
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「や〜っぱ夏はサイコーだね!クーラーの風は気持ち良いしアイスやソーメンは美味しいし大手を振って半袖になれるし―――」

ユフィはチラリと同じくソファに座る隣のヴィンセント見やると半袖のシャツを着ている事で剥き出しとなっている腕にぎゅっと抱き付いた。

「夏は良い事尽くめだね〜」
「冷たい物を食べ過ぎて腹を下さないようにな」
「あーもー!ロマンがないんだから〜!」

唇を尖らせて不満を口にするもヴィンセントにはどこ吹く風。
それでもユフィがそれ以上の不満を口にしなかったのはやはりヴィンセントが半袖のシャツを着てくれたから。
万年黒の長袖の代わり映えしない服でも別にいいと言えばいいのだが、やはり夏なのだからせめて家の中だけでもいいから半袖を着て欲しいと強請った。
見ているこっちが暑くなると強く主張した所、ヴィンセントも「家の中だけでなら」と受け入れてくれたのだ。
そこでユフィは早速ヴィンセントの為の半袖シャツを調達し、休みの日はこうして着てくれている事に喜びを隠せず抱き付いているのだった。

「ま、いいや。それより夏の間はこうやってヴィンセントの半袖を有難がっておかないとね〜」
「私の半袖姿の何が有難いのか理解に苦しむな」
「だってレアじゃん。ヴィンセントが素肌晒すなんてスーパーレアじゃん」
「たかだか腕だぞ?」
「腕でもレアなんだって!」
「ベッドの中でも素肌を晒すが?」
「そ、それはそれ!これはこれ!シチュエーションが全然違うの!」
「ふむ・・・それについては分からないでもないな」

言いながらヴィンセントはもう片方の手を伸ばしてユフィの太腿を撫でた。
その撫で方や指先の動きに艶やかなものを感じてびくりと体が震え、ユフィの顔は一瞬にして赤くなる。
動揺から「で、でしょでしょ・・・」と弱々しく呟いたものの、ふとある事に気付くとヴィンセントを見上げた。

「もしかしてアンタが普段からアタシに肌を隠せって言ってるのはレア感がないから・・・?」
「単純に肌を晒し過ぎだと注意しているだけだ」
「え〜?これくらい普通でしょ」

どこが普通なんだか。
そんな感想は心の中で溜息と共に吐き出した。
剥き出しの肩や鎖骨、臍や太腿に一体どれだけの視線を集めているのか自覚がないらしい。
牽制する方の身にもなってほしい所だがユフィがこの苦労を知る事は一生ないだろう。
しかしその苦労の分だけベッドの中で男達の欲望をかきたてる体を堪能出来るという優越感があるのでトントンといった所である。

「むしろヴィンセントは何で長袖なの?」
「肌を晒す年齢でもない」
「実年齢はアレとしても見た目は全然そんな事ないって!」
「本当にそう思っているのか?」
「うん」

黒い瞳を見つめるもそこに嘘や悪戯心のようなものは浮かんでおらず、ヴィンセントは視線を天井に向けるとぼんやりと呟いた。

「・・・では、休みの日に限定して外出する時も半袖を着てみるとしよう」
「それはダメッ」

間髪入れずして否定された言葉にヴィンセントは眉間に皺を寄せると訝し気な目を向けた。

「急にどうした?」
「だってヴィンセントの肌を拝めるのはアタシだけの特権だもん。他の人が見るのは禁止〜」

ふふん、と鼻を鳴らしながらユフィはより一層ヴィンセントの腕に絡みついてスリスリと頬擦りをしてくる。
何とも身勝手な言い分だが、先程のヴィンセントだけが味わえる優越感を思えばそうとも言えない。
ヴィンセントはフッと息を吐くと口元を緩めた。

「・・・では、今後も半袖は家の中にいる時だけという事にするとしよう」
「分かれば良し!」
「水着も着ない事にしよう」
「え〜?それは着てよ〜」
「私の肌を見るのはお前だけの特権なのだろう?ならば水着など以ての外の筈だ」
「水着は例外で〜す」
「認められないな」
「何でだよ〜!」

その後、攻防はしばらく続いた。









オマケ


ユフィ「聞いてよティファ〜!この間ヴィンセントと水着買いに行ったんだけどさ〜」

ティファ「うん?」

ユフィ「決めるのにすっごく時間かかったの!アタシ的に満足いく水着があってもヴィンセントが納得いかないみたいな顔して色んな水着を試着するハメになってさ〜」


クラウド「・・・アンタ、もしかしてユフィの色んな水着姿を見る為にワザと渋ったんじゃないか?」

ヴィンセント「・・・さぁな」


クラウド(俺も同じ手を使ってみるか)







END
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