短編

□願わくば君が信じていたことを
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傷だらけのその体は、それでいてなお美しかった。
猿鬼は隣で横たわる法子の髪を優しく撫でた。

こんなにか細く、小さな体に、どれだけのものを背負っていたのだろう。

俺は、お前が俺を救ってくれたことを、
ー俺を愛してくれたことを、決して忘れまい。

「...もう、何も背負う必要はない」

どうか、ゆっくり休んで欲しい。

だが願わくば、お前が最後にこの世を恨まずにいてくれたなら、と思う。

小さく、しかし大切なその願いを胸の奥にしまい、猿鬼はそっと瞳を閉じた。

end
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