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□イビツナセカイノウラガワノイロ
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__他人って、不思議で、面白いことばかりよね

知れば知るほど陰鬱な色の世界。
耳を澄まして聞こえてくるクラスメイトの会話。何の変哲もないただの会話。
昨日のテレビがどうの、芸能人がどうの。あまり興味がないことばかりが飛び交う朝の教室。
ここは進学校と呼ばれる高等学校。
当然ここにいる生徒はそれに見合った成績を持つものばかり。やっぱり賢いだけあって、イジメなんて低レベルなことはないけど、じゃぁどうやって鬱憤を晴らしているのかしらね、って思ったの。

最近、私が気になることは人の二面性。興味を持っていることは言葉に隠された裏の意味。
昼間は他意なく交わされる会話の裏に隠されている言葉や気持ちに、あなたは興味が湧かない?私は興味が湧いたの。

昼間の賑やかな雰囲気とは一転して、静かな放課後の教室は不鮮明なイロに包まれる。
パレットに絵の具をぶちまけたような、耐えられない空間と成り果てる____
数人の女子生徒が、いかにもだるそうな風体で椅子に座って喋りだす。初めは他愛なく今日の出来事を。次第に愚痴へ。まずは部活の愚痴。

「もー顧問の先生の態度がウザくてさー部活行く気になんない。」
「あーわかるわ〜あたしもさー雰囲気サイアクでさ、あんなとこ行きたくないからここにいるってカンジ?」
「あたしもあたしもー」

次に話題に上がるのはクラスメイト

「そういえばアイツ、最近見ててイタイよね」
「あー無理してるーってカンジでウザ」
「もー喋ると疲れるって」

人をあざ笑う声が聞こえてくる。ああ、不快。
悪口や愚痴を言うのを悪いとは言わないけれど、聞いていて不快にしかならないわ。
でもね、私はこの二面性が不思議でならないわ
だって昼間は普通に仲よさそうに接するのに、放課後になったらこれよ?
本心かどうかなんてどうでもいいけれど、ここまで態度を変えられるなんていっそ素晴らしいと思わない?
表向き仲良くするのは体裁ってヤツなのかしらね?そんなことを考えているなんて、なんて面白いのかしら。
確かに私も面倒ごとはたくさん。アイツが嫌い、コイツが不快。当然ね。
でもここは教室よ?こう隠すべきことをわざわざ誰が聞くかもしれないところで大声で喋るのはどうかしら?きれいな真っ白なキャンパスに迷彩を塗りつけて、黒を吐き出して、その醜い絵を誰に見せられるのかしら。

こんな二面性の顔なんて、普通は隠すものでしょう?それでも晒しものにしてしまうのなら、こんな状態、いつまで続くのか興味があるわ。
仮初めの友情って、壊れたら何処まで逆恨みしあうのかしらね。すごく興味深いわ。
人って、本当に愚かで楽しくて、興味深いわ。

ガタン______

「 バ イ バ イ 」

さぁて、今度は何を視ようかしら。
どんな色を塗ってみましょうか。

この真っ白な学校(キャンパス)に










END
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