旧小説

□素顔の君に
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まぁ冗談はさておき。

――その龍の噂のせいで舞い込んできた私とは別の、ある噂。

キレまくって騒いでいる私を軽くあしらっている龍。

そんな光景が繰り広げられる教室に入ってきた女子2人。

そして言ったのは。

「オタ林さんっ」

「誰ソレ!!?」

突然キレた私にびびりつつ彼女たちは口を開く。

「いや、小田林さんでしょ…?」

本当に誰だソレは!!!

「私は高林だから!!」

「てか、どうしたの?」

「龍、おまっ」

私を無視してそう言う龍を睨みながらも怯えながら口を開く彼女たちに視線を移す。

「あの、オタ…高林さんは三組の柴多一意(しばた いちい)君知ってるかな…?」

柴多一意?
もしかして学年トップの成績の奴だろうか。

そんなマンガみたいな奴いるんだなぁ…。

(普通にいますよ)

私は首を傾げながらも彼女たちに答えた。

「聞いたことはあるよ?そいつがどうかしたの?」

「いや、オタ…高林さんには良い情報かと思って」

また言い直しましたよね、今。

「…何が?」

「何かその柴多君、眼鏡取ったら超美形って噂聞いたんですよ!!」

噂は天下の回りモノ(違う)。

何だその不確かですけど調べてもらえません?的な視線。

そんなマンガな展開ありえませんでしょ。

「葉名。いって来い」

「何で龍が命令してんの!?」


そんなマンガ的展開はなかろう。
と思いつつも。

ちょっと気になってしまった訳で。
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