遠き夜空に夢は落ちて
□第一章 夢に彷徨い、そして出逢う 第四楽章 歯車が一つ、
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リビー・ブルーノは、とある部屋に立っていた。
「お帰り、リビー君」
リビーが声の方を見ると、金髪の白人の男がデスクの上に手を組んで座って、彼を見つめていた。
「ごめんなさーい、団長さん」
その男に、リビーはすまなそうに微笑む。
「いいさ。どうせほんの思い付きだったんだから。中々引っ掻き回してくれたし、君には感謝している」
「見つかっちゃったりしないですかね?」
「大丈夫さ。見つかったとしても日本政府は我々には余程な事が無い限り手を出さない」
リビーの所属するこの組織は、日本政府の外交筋から圧力を掛ける事で外交官同等の権限を持っていた。その為、警察は異能特務課含め手出しが出来ない。
「そうだ。彼等は手強かったかい?」
「武装探偵社、ですか。・・・ええ、かなり。少数ではありますが、皆さん突出した能力をお持ちの様でしたよ」
「ほう。・・・まぁ、異能力と云うのはそう云うものさ」
武装探偵社の襲撃は、目的の中途でこの団長が思い付いたものだった。元々、彼等は武装探偵社をある点で目を付けている。お手並み拝見の心算で彼等への接触を試みる事にしたのだ。
「彼等は次の機会に潰すとしよう」
そう焦る必要は無い。金なら幾らでもある。
金さえあれば、簡単に動かす事が出来る。所詮人と云うのは、そう云う生き物だ。
リビーの前に座る男、組織の長は、ひっそりと笑った。
此処は、組合のアジトである。
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