遠き夜空に夢は落ちて

□第一章 夢に彷徨い、そして出逢う 第二楽章 正解はまた何時か
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ジリリリリ!

アラーム音が鳴り響く。明るく美しい、音色と云える音であった。逢為灯の時計のペンダントか。

「ん・・・」

逢為灯が目を覚ました。さァ、太宰は如何なったのか。
・・・目を覚ます様子はない。

「逢為灯」

「・・・駄目か」

目を擦りながらアラームを止め、逢為灯が呟いた。

「・・・御免なさい。見つかりませんでした」

それから妾達に向かって頭を下げる。手袋御返しします、と妾に手袋を返し、彼女は続けた。

「また、もう一度探しにいきます。その前に・・・私の異能の話ですよね」

「・・・あぁ」

国木田が頷く。

「約束通りお話し致します。だけど私の異能、結構複雑なものなので、長くなると思いますがよろしいですか?」

「構わないよ。それなら此処で立ち話じゃなくて、会議室で椅子に座りながら聞かせて貰おうかね」

「判りました。じゃあ其方でお話しさせて頂きますね」

逢為灯が、自らの異能について語り始める。





「私の異能力の名前は『織女星』と云います。眠りと夢と疲労を司る異能です。そして四種類の能力があります」

成る程。数種類の使い分けがある時点で面倒そうだ。

「先ずは・・・先程見せた能力についてにしましょうか。あれは、『織女星・鵲の刻』と云います。私自身に発動する、何時如何なる時でも眠る事が出来る能力です。思い描いた夢の世界に入る事が出来、対象の躰に触れたまま発動すれば、その人の夢に入る事も可能です。」

「其奴を太宰に使おうとした訳か」

国木田が云った。

「ええ。・・・使えない事が判って今本当に参ってます」

逢為灯は、項垂れて小さく云った。

「続きです。『鵲の刻』で、私は何時でも眠る事が可能ですが、目覚める方法は、一つしかありません。この時計のアラームが鳴る、と云う事です」

逢為灯は手に持っていた時計のペンダントを妾達の前に掲げてみせる。

「これは、『鵲の刻』を使った時だけではなく、どんな形で眠りに着いた時にも同じです。しかし、アラームが鳴りさえすれば、如何いう状況であっても目覚める事が出来ます。私が夢の中でどんな状況にあっても、時計が私からどんなに離れた場所にあっても。・・・『鵲の刻』の説明はこんな所ですかね。初めて話しますしこんな機会一生無いと思ってましたが・・・矢張り長くなりますね。皆さん、大丈夫ですか?」

確かに、一種類説明して貰っただけでこの長さだ。彼女の異能力、想像以上に複雑のようだ。

「まァ、此方が頼んだ話だからね。このまま最後まで聞かせて貰うよ」

他のメンバーも頷いた。

「すみません。・・・では続きをお話しさせて頂きます」
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