夢語り
□波のおばけ
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女の子を見ていた。
走る、いや逃げる女の子。
それは黒い大きな波だった。
黒い大きな波が女の子に迫っていた。
黒く黒く大きく大きくて得体の知れないようで、おばけみたいだった。
女の子は走っていた。
私はただ見ていた。
女の子は逃げていた。ずっと逃げていた。
私はただ見ていた。
女の子は逃げる。だけど波はすぐそこまで来ていた。
女の子が波に振り向く。それはもう、女の子を覆いかけていた。
女の子を見ていた。
気づいた。
女の子は、私だ。
私は、私の名前を叫ぶ。
黒く大きな波は、私を飲み込む。