遠き夜空に夢は落ちて
□第一章 夢に彷徨い、そして出逢う 第三楽章 The Rebellion of Toy Soldiers
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三十分を切った。
未だ彼等の音沙汰は無い。
事務所に居るのは、妾、社長、ナオミ、春野さん、そして先程目を覚ました逢為灯。一時間を切った辺りから音を立てる者は誰も居なくなった。
武装探偵社は重い沈黙に包まれていた。
時計の秒針が耳障りだった。刻一刻を示すそれを聞いていると、ぐるぐると思考が止まらなくなる。
もっと、出来る事があったのではないか。他の選択を選ぶべきでは無かったのか。妾は、待っているだけでよかったのか。
多分それは、此処に居る皆が同じだ。
思考は突然に中断された。
「あぐっ・・・!」
呻き声。
「!?今、声が・・・」
ナオミが立ち上がる。その声は、確かに彼等を寝かせていた一室からであった。
「国木田さん!大丈夫ですか?」
今度は会話が聞こえる。この声は、敦と太宰だ。
急いで妾達はその部屋に向かう。
中を覗くと、彼等が居た。
「如何やら、異能空間で受けた傷はそのまま負ってしまう様だね」
冷静に分析を始める太宰。
「うーん、帰ってきたっぽいですね!」
「僕も流石にくたびれたよ」
伸びをする賢治と乱歩さん。
「あ!皆さん!国木田さんと谷崎さんが!」
一番最初に妾達に気付いて怪我人の報告をしてくる敦。
・・・こりゃあ治療のしがいがありそうだ。
「よかった・・・」
妾の後ろで逢為灯が安堵の笑みを浮かべた。
乱歩さん、国木田、太宰、谷崎、賢治、敦。
彼等が、帰ってきたのだ。
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残り時間、二十四分。
総時間、二十三時間三十六分。
脱出成功。
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