短編
□アモルテンシアにシュガーをひと匙
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※本番なし・自慰行為
信じられないかもしれないけど、これでも現実。
初めてムッシュ・スネイプとお会いしたあの学会の日にマダムと三人、食事へ連れだってそして私と彼は物凄い勢いで薬学について語り合った。それはマダムをも置いてけぼりにしてしまうほどで、それでもこんな貴重な機会は二度とないだろうと思ったら遠慮することなんて忘れていた。
その日はそのまま解散と相成り名残惜しくも帰国したのだが、数日と経たずに私のもとへふくろう便が届いたのだった。
"休暇の間ホグワーツにて我輩の助手として特別に短期編入・研究実習を許可する。あくまで貴殿の意思を尊重するものであり、望まれるのであればボーバトン魔法アカデミー校長殿にも許可を得られたし。"
胸の高鳴りを押さえられずすぐに校長室へ走った。
マダムの許可は得なくて良いのかしらとも思うが、校長が頷けば彼女の許可を得たも同じことだ。あの食事会のときにはこんなお話一言もされていなかったから、きっとマダムは首を縦に振らないだろうということも、彼にはわかっていたのかもしれない。
そうしてやってきたクリスマス休暇。
海を越えてホグワーツを訪れた日から既に二週間が経過していた。貴重な実験や彼のお仕事を手伝ったりと教授見習いとして充実した日々を過ごせているわけだが、休暇中で人の居ない中を二人きりで過ごす私たちにとって、距離が縮まるのにもそれは充分な時間だった。
元々憧れていたのもあるしこれだけ近くにいるのだからどうしたって意識してしまう。しかし当然ながらお互いに立場というものがあるので私たちの間でそういう類の言動はことごとく避けられていた。実験中に注がれる熱い視線にも、物を渡す時不意に触れてしまった指先にも、気づかぬふりをして…
そんな悶々とした関係のまま、秘めた想いだけを日々募らせているのだった。
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朝一で出掛けて行った彼に留守を頼まれたので薄暗い薬学教室で一人、薬の調合と蒸留に耽る。高価なものでなければ特別に薬品庫のものを自由に使って良かったのだが、彼がいないのを良いことにこっそり、稀少とされている材料を拝借した。(後から怒られるだろうけど使ってしまえばこっちのものだもの)
『……できた…』
ゆっくり、螺旋状の湯気をのぼらせてパールの輝きを放つその魔法薬は小瓶を傾けるたびに様々な色を反射させた。
早くもその美しさにうっとりしながら鼻を近づけ、すん、と匂いを嗅ぐ。
朝摘みの、薬草の匂い____。
大好きなあの人の香り…。
随分強力なものを作ってしまった様だ。その香りだけで心臓はドクンと大きく脈打ち、身体が熱くなってくる。
『……、…はぁ…』
少量しか作っていないにも関わらず香りは部屋中に充満して私の脳と理性を麻痺させた。
まるでムッシュに包まれているような満たされた感覚に恍惚と目を閉じる。あの方に、触れることができたらどんなにいいだろう。触れて、もらえたら、どんなに……
無意識に自分の手を内腿に滑らせていた。
布越しにもわかるくらい熱く湿り気を帯びていて、膨らんだ秘芽にも恐る恐る指を這わせてみる。刺激を与えれば潤いは増していくばかりだ。
クチ、チュ、クチャ…
目を閉じて彼を想えばもう止められなくなってしまって大胆にもスカートを捲り下着の中に手を差し込んで、秘部を直に弄り始めた。誰も居ないとはいえ、他校の教室で、こんなにも、乱れてしまうなんて…
背徳はいとも簡単に興奮をエスカレートさせていき、比例して指の動きも激しくなっていく。入り口付近を行ったり来たりさせてはくぐもった声が鼻から抜けていった。
『…ぁ、…んん……む、しゅ……』
自分で自分を慰めるなんて初めての経験なので加減がわからない。いつまでも達することができずにゆるゆると意識を漂わせていると、突然、背中に重みを感じた。
「お呼びですかな、Ms.ナナシ?」
耳元で囁かれた重低音が、ゾクゾクと背筋を伝って腰に響く。左手で口を封じられつつ右手は下着の上から、中で大変なことになっている私の手に添えられた。
『!!?ふ、むぅっ…!!』
驚きと恥ずかしさのあまり混乱して思考がうまく働かない。彼は呆れた様に溜息をついた。
「…高価な材料は使わぬようにと忠告していた筈だが?相応の、覚悟が、おありなのでしょうな」
『んんんっ!!』
下で添えられていた指がぐっと押し上げられたので、中で自分の指がより深く入り込む。
「あろうことか我輩の留守中にかような"戯れ"に興じておられたとは。ある意味、君の調合薬は素晴らしい成果をもたらしたようだ。部屋中に匂いを充満させおって」
後ろから首筋に唇を押し当てられながら諌められる。今は何を言われても興奮剤にしかならず、息を荒げた。
「熱心な研究家殿にお尋ねしよう。…君にはどう、香るのかね?答えてみろ」
『……!』
この、アモルテンシアは人によってその香りは異なる。何故ならその人の"好きな物"の匂いが投影されるからだ。
そんなもの、答えられるはずがない。この秘めた想いを彼に伝えるなんて_____。
左手が外され、ぷはっと外気を吸い込むが濃厚で甘美なそれは新鮮な空気とはとても言い難い。
外れた左手は身体をまさぐり、遂に右手が下着の中に侵入してきたかと思えば直接私の手にかぶせるように中指を突き立てられ、私のと彼のと、二本の中指がクチクチと中で暴れ回った。
「…どうした、聞いているのが、わからんのか」
『ぁんっ、ひゃぁ…ぁ、やぁ』
開心術も使いこなせる彼のことだから、きっともう気づいているに違いない。そう思えば思うほど、余計に言葉は出てこなかった。
激しく出し入れを繰り返される度、とろとろと生温い液が掻き出されていく。
『ぁ…ムッシュ、お袖、が…』
汚れてしまいます、と言い終わる前に彼はずるりと指を引き抜き割れ目を縦になぞる様にして愛液を掬い取った。
息を整えながらぼんやりとする頭で、それをどうするんだろうと目で追うと彼の手は私が作ったアモルテンシアの瓶に伸びていく。そして瓶の口にすりつける様に指先の液体を中に入れたので、思わず目を見開いた。
濃厚そうなその滴が、瓶の内側を伝ってパールの海に飲まれていく…が、別段変化は見られない。
そして更に驚くことに、ムッシュはその瓶口を高い鼻先に近づけたのだ。私を、見下ろしながら、すぅっと香りを吸い込む。
その液体はもう、アモルテンシアではなくなっているはずなのに…羞恥でどうにかなってしまいそう。
「……Parfum du, savon. C'est le vôtre.」
耳を疑った。
…この人はまったく、私を驚かせることにおいて天才すぎる。
顔に熱という熱が集まりながらもムッシュを見ると、彼は見たこともないくらいに柔らかく笑ったので私はこれ以上ないほど胸が締め付けられた。
そしてお互いに引き寄せられるように、唇を重ねるのであった。
あとで、ちゃんと伝えよう。
あなたのことが、すきだってことを。
Parfum du XXX
"……石鹸の香りだ。君のな。"
この先どうするのかとか深いこと考えずに書きました…^^←教授に仏語言わせたかっただけ